渡瀬マキ 撮影:源賀津己 渡瀬マキ 撮影:源賀津己

1989年にデビュー。数々のヒット曲を発表するも、2002年活動にピリオドを打ったバンド、LINDBERG。20周年にあたる2009年に1年間限定で復活し再び休止したが、2014年、25周年を機に「Re:LINDBERG」と題して継続した活動を宣言。結成から解散、そして再活動に至るまで渡瀬マキ(vo)が語ってくれた。

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アイドルだった渡瀬がLINDBERGを結成した経緯について振り返ってもらうと「アイドルのとき、やってる音楽がしっくりこなくて(笑)。憧れていた東京で松田聖子さんみたいな衣装を着て1年やってみたけど自分に嘘つけへんようになってきて。“今やってることが心地良くない”って伝えたら社長が“カラオケやめて生演奏にして、デパートの屋上やめてライブハウスで歌ったら”とバンドを探してくれて、その中に達ちゃん(平川達也・g)がいた。書き溜めてた歌詞をみせたら曲をつけてくれて、生まれて初めて自分の書いた詩がメロディになってそれを歌ってすごい感動して“あー、これや!”って思ったんですよ。達ちゃんが“こういう感じでやりたいならバンド組むのがいいんじゃない?”って、智ちゃん(川添智久・b)とCHERRY(小柳昌法・ds)を連れてきてくれた」。

その後彼らは日本武道館が満杯になるほどの人気に。「正直、実感がなかった。『今すぐKiss Me』という曲が一番前を走っていて、その次にLINDBERGというバンド名が走っていて、自分たちは一番後ろの方で追いつくのに一生懸命やった。でもね、それがかえってよかったと思う。大人になればなるほど考えすぎてしまう。だけど歌が好き、ステージが好き、それをみんなが応援してくれる。それだけでいれた時代。貴重な数年間やったなって今は思うんですよ」。

その後、渡瀬は平川と結婚。バンドは解散を迎える。「私の全てが子供に向かっていたんですよね、全ての細胞が。息子を産んで2年はバンドやってたんやけど、どうしてもそばにいたくて、それで解散を決めたんです。それから娘を産んで子育てしていく中で子供向けの番組で歌うチャンスがあって、その頃風の噂でLINDBERGが20周年ってきいて(笑)。自分も40歳になるし、あとはメンバーやなと思って電話してみたんですよ。そしたら“いいねえ”って」。

2014年の再開は「再始動する可能性は0%でした。2009年のライブの最後に“また会おうね”とは言えへんかった。明日のことは誰にもわからんもんね。でも確実に人生の折り返し地点に来てて、LINDBERGをなくしてしまっていいのかって自問自答があって、単純に楽しくLINDBERGの音楽ができたら最高に幸せやなと思えた。メンバーは運命共同体で、いつもどこかで待っていてくれてOKって快く言ってくれるのがありがたいですね」。

春に予定しているライブに向けて「ファンから聴きたい曲を募集してるんですよね。要望に応えて椅子も用意したんですよ。椅子があればじっくり聴いてもらえるし、長く喋っても大丈夫やなと(笑)」と意気込んだ。

取材・文:浅野保志(ぴあ)