いよいよ発売迫る! 100組100曲6枚組という超絶コンピレーション『JAPAN IDOL FILE2』が3月10日に発売されます。そのボリュームもさることながら、その内容も凄まじい! 全国各地のアイドルと東京ライブアイドルシーンの楽曲が混然一体となって、アイドルブーム列島を一刀両断にエイヤッと切り出したような鋭さ。100曲100様のアイドルサイドを見せてくれる珠玉のコンピレーションになっています。

今回は、『JAPAN IDOL FILE2』をコンパイルしたライター、南波一海氏にロングインタビューを敢行しました。フットワーク抜群の足と豊かな耳で珠玉のアイドル曲を蒐集、人呼んでアイドル界の柳田國男?! 7時間に及ぶマインドトラベルを熱く深く語っていただきます。では、いってみましょう。どうぞ!
 

いわゆる「いい曲」だけじゃない、面白いものや変なものも入れたかった

鈴木妄想氏(左)と 南波一海氏(右)

――よろしくお願いします! 今作を聴いてまず感じるのが、前作『JAPAN IDOL FILE』(以下JIF)とは全然違うな、ということでした。

南波「前作を作った時に、本当はもっと多く収録するはずだったんですよ。でも、メンバーが変わったり解散したり、アイドルが変化していくスピードが早かったんですよね。使用許可が取れなくなったり、連絡も取れなくなったグループもあって、結局64曲になったんです」

――JIFは全体的に“各グループの代表曲”という感じでしたね。

南波「そうですね、いわゆるいい曲が残った。グルーヴィーだったり、エレクトロのよく出来た曲とか、いわゆる“楽曲派”の人が喜ぶような曲が多かったと思います。でも、今回は『そうじゃなくてもいい曲』もあるんだよ、っていうのを見せたかったのはあります。そうじゃないんだけど、そこが面白い、もっと変な曲だったり。『JIF』が出た2013年以降の曲で、いわゆる『ネクストブレイク』っていうのとも、また違う曲たちが中心ですね」

 

――今回、DISC1の始まり方がすごく印象的だったんです。山梨出身で音楽的にも面白い「Peach sugar snow」/『人魚~泡になって消えても~』で始まるのは、『JIF』と同じテイストですが、2曲目に東京の、しかも活動休止中の「ヴァンパイア☆Kiss」/『うわさの TRENDY GIRL』を持って来ている。レコライドの佐々木喫茶さん(他にKOTO、Saoriiiiiなどに楽曲提供)作曲なんですね。ものすごくイイ曲!

南波「コレ、本当に好きなんですよ。前作では『(リリース時点で)現役のアイドルの曲』っていうルールがあったんですよ。でも、今はさらにサイクルが早くなって、細分化してますよね。自分がいいと思った曲は、解散したグループや活動休止のアイドルでも可能な限り収録してます」

 


――さらに3曲目に鳥取出身ですごく評価の高い「Chelip」/『恋愛至上主義』と続いていって、「嫌いな人はいないでしょ!」っていうような流れを作り出している。山梨、東京、鳥取と地域は関係なく、音楽性でつないでいく、という今作の宣誓のような印象です。

南波「うーん、そこまでは考えてないかもしれない(笑)。とにかく、アホみたいにたくさんCD-Rを集めてそこから聴いて選んで。でも、大体のDISCで、序盤はなるべくキャッチーなものにしようとは考えましたけどね」

 


――どちらかと言うとカタログ的だった『JIF』に比べて、今作は、音楽的な「作品」「表現」という印象が強くなったと感じます。これを出来るのは南波さんしかいないな、と思うんです。

南波「前作は、たまたまうまい具合に地域がバラけていたのでDISCを地方別に分けられました。今回、また同じように地域別に作ろうとすると、『東北で十何曲集めなきゃ』とか『関東で十何曲集めなきゃ』といった制約ができてしまうので、そこは撤廃しました。地域で音楽性に違いなんてないじゃないですか。音楽性については、大阪はどうだ、福岡はどうだ、っていうものでもない」

――各地にいろいろな音楽性のグループがいますもんね。

南波「地域ごとに分けたり、どの地方に偏っているとか考えるのがバカバカしいな、と思ったんです。それに、元々<ローカルアイドル>っていうカテゴリーそのものは好きじゃなかったんですよ。インディーズのアイドルはいっぱいいるのに、東京だけ外して、46道府県から取り上げるのも変だろう…という気持ちがあって」

――うーむ、そうだったんですね。

南波「地方っていう事でまとめたほうが、企画としてスポットを当てやすいんですよね。自分がいろいろな番組や企画をお手伝いしてきたから、取り上げる側の意図もわかるんです。でも、自分の中でフラストレーションもあって。だから今回は東京も地方も関係なく100曲を集めて、その上で曲順を考えたっていう感じですね」

――今作に入れた曲、入れなかった曲の基準は少し気になるところです。例えば、自分が感じたのは、あ、「クルミクロニクル」が入らないんだ、とか…。

南波「確かに自分の好みを知っている方たちからは『なんでこれが入らないの?』っていうのはいくつか言われました。ただ、しっかりしたコンセプトのアルバムをリリースしている方については、その作品を聴くべきだろうと。流通もしているので、普通に買えるし。もちろん例外もありますけどね」