撮影:三上富之 撮影:三上富之

トップスター・真風涼帆(まかぜ・すずほ)率いる宝塚歌劇宙組公演-本朝妖綺譚-『白鷺(しらさぎ)の城(しろ)』、ミュージカル・プレイ『異人たちのルネサンス-ダ・ヴィンチが描いた記憶-』が10月5日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。

宝塚歌劇宙組『白鷺(しらさぎ)の城(しろ)』/『異人たちのルネサンス-ダ・ヴィンチが描いた記憶-』チケット情報

第一幕の『白鷺の城』は、ストーリー仕立ての日本物レヴューで、陰陽師・安倍泰成と妖狐・玉藻前が1000年にわたり転生を繰り返しながら、争い、魅かれ合う様を綴る。平安時代、古代中国など、時や場所が移ってもめぐり合いや別れを繰り返す陰陽師と玉藻前との宿縁。トップスターの真風は陰陽師をはじめさまざまな役に扮するが、どの場面も艶やかで美しい。しっとりと優美に舞い踊る様に目を奪われる。狐の化身である玉藻前に扮するトップ娘役・星風(ほしかぜ)まどかは、愛らしくも妖艶に魅せる。もちろん日本物ならではの、色とりどりの衣装や舞台美術も見どころで、壮大なストーリーと絢爛豪華な世界観に酔いしれられる。

第二幕の『異人たちのルネサンス-ダ・ヴィンチが描いた記憶-』は、15世紀のイタリア・フィレンツェが舞台。時の統治者ロレンツォ・デ・メディチに創作を依頼されながらも、従うことを拒み続けてきたレオナルド・ダ・ヴィンチ。しかし、ロレンツォの愛人カテリーナが、かつて寂しさを分け合った幼なじみであることを知り…。彼の創作の源が、ひとりの女性への愛であったと仮定し、若き日のダ・ヴィンチと彼を取り巻く人々との愛憎がドラマチックに描かれている。

真風が演じるダ・ヴィンチは、一見爽やかな好青年だが、幼い頃に孤独に生きた過去を持つ。そんな陰の空気をもまといながら繊細に表現している。また、権力に屈しない信念と芸術への高いプライドを持ち、カテリーナへの一途な愛を貫く。一方、星風が演じるカテリーナは、ロレンツォ、ダ・ヴィンチだけでなくロレンツォの弟・ジュリアーノからも愛されるほど、美しく魅力あふれる女性。心を閉ざしていたカテリーナが、ダ・ヴィンチによって次第に心を開いていく様を丁寧に表している。

また、ロレンツォ役の芹香斗亜(せりか・とあ)、ロレンツォを陥れようと画策するフィレンツェ司教グイド役の愛月(あいづき)ひかる、ジュリアーノ役の桜木みなとらも好演。ダ・ヴィンチとカテリーナとの愛はもとより、それぞれの陰謀や確執などが絡み合う物語に引き込まれる。

公演は11月5日(月)まで、兵庫・宝塚大劇場にて。東京公演は11月23日(金)から12月24日(月)まで東京宝塚劇場にて開催。東京公演のチケットは10月21日(日)発売開始。

取材・文:黒石悦子