TOBを「前向きに受け入れた」と語るドン・キホーテの大原孝治社長兼CEO

10月11日、ドンキホーテホールディングス(ドン・キホーテ)がユニーの買収を発表した一方で、ユニーの親会社であるユニー・ファミリーマートホールディングス(ユニーファミマHD)はドン・キホーテの株式に対する公開買付(TOB)を11月上旬に開始すると発表、ドン・キホーテへの支配力を強める狙いについて、両社のトップが会見で語った。

公開買付に賛同したドン・キホーテ

両社の資本関係は少し複雑だ。現状、ユニーファミマHDが60%出資しているユニーは、2019年1月にユニー株の100%を取得するドン・キホーテの完全子会社となる。一方で、ユニーファミマHDは、ユニーのGMS事業を切り離し、100%出資しているファミリーマートのCVS事業に集中することができる。

GMS事業をドン・キホーテ、CVS事業をユニーファミマHDが手掛けることになり、両社は二分して別々の道を歩む選択肢もあった。ところが、ユニーファミマHDが公開買付者を通じて、ドン・キホーテの株式の最大20.17%の取得を目指すことになった。なお、公開買付者の詳細については明らかになっていない。

実はこのシナリオ、18年9月上旬にユニーファミマHD側からドン・キホーテに持ち込まれたという。ドン・キホーテは、ユニーファミマHDの持ち分法適用関連会社となり、ユニーファミマHDの支配力が強まる。

そのユニーファミマHDは18年7月17日に、伊藤忠商事の子会社の伊藤忠リテールインベストメントを通じてTOBを受け、1カ月後の8月17日に8.6%の追加取得が完了。伊藤忠商事の出資比率が50.1%となったことで、ユニーファミマHDは子会社になった。

今回のTOBで伊藤忠商事やユニーファミマHDからの影響力を受ける形になるドン・キホーテは、最大20.17%というTOBが上場廃止を狙ったものでなく上場を維持する目的であることから、この公開買付に賛同するという経営判断を下した。

では、なぜユニーファミマHDはドン・キホーテへの支配力を強め、ドン・キホーテはそれを受け入れたのか。

ドン・キホーテの大原孝治社長兼CEOは、「われわれのディスカウントストア事業とユニーのGMS事業、ファミリーマートのCVS事業という三大業態で、総売上4兆7000億円規模の流通グループが誕生した。お互いの有機的な結合によって、これからの流通の荒波を乗り越えていきたい。新たな決意として、この20%を前向きに受け入れた」と、今回のTOBに賛同した理由について語った。なお、増資の検討はしていないという。

伊藤忠商事とドン・キホーテの距離が縮まる

ユニーファミマHDの高柳浩二社長は、「間接的ではあるが、引き続き約2割のユニー株を持ち続けたい。台湾のファミリマートでドン・キホーテとコラボするなど海外事業での検討も含めて、今後もドン・キホーテと一緒に事業を進めていきたい。また、伊藤忠商事を含めたグループ全体の強みを総動員し、新しい業態やモデルを作っていきたい」と、ドン・キホーテとの関係を維持し続ける目的を語るとともに、親会社の伊藤忠商事も巻き込んだ総力戦になることを予想する。

また、CVS事業について高柳社長は「ユニーの再生は課題だったが、コンビニの一本足打法で経営していくつもりはない。流通業にとって大事なのは総合力やスケールメリット。今後はビッグデータの活用の面でも、ドン・キホーテと力を合わせて三大業態で進めていくことが、いろいろな展開につながるだろう」と、CVS事業だけに特化しない方針を改めて示した。

ユニーファミマHDにとって今回のTOBは、課題だったユニーのGMS事業を切り離して、その再生をドン・キホーテに委ねつつ、GMS事業とディスカウントストアをもつドン・キホーテへの支配力も維持しつづけられるという一石二鳥の手法だったといえる。

もっとも、伊藤忠商事はユニーファミマHDをTOBした際、従来型の商社のビジネスモデルが通用しなくなることに危機感を抱き、小売業による顧客との接点を通じて得られるビッグデータなど、ITを使ったを新しいビジネスモデルに転換する必要性を明らかにしている。

ドン・キホーテもユニーファミマHDと業務提携した際、ビッグデータを活用した店舗運営面でのデジタルソリューションの開発や、次世代新レジの共同開発を通じたリテールテクノロジーの導入などを掲げる。

大原社長兼CEOが「流通の荒波を乗り越えていく」と決意表明したように、第4次産業革命におけるビッグデータなどを活用したリテールソリューションを開発したり導入したりすることで、業態の垣根を越えた流通の大再編時代を勝ち抜くという点で、伊藤忠商事とドン・キホーテの思惑は一致している。(BCN・細田 立圭志)

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