槙野智章(浦和レッズ) (c)J.LEAGUE PHOTOS 槙野智章(浦和レッズ) (c)J.LEAGUE PHOTOS

シーズン前、浦和レッズのDF・槙野智章に『明治安田生命J1リーグ』第2節・モンテディオ山形戦について話を振ると、「山の神から点取りたいっ!」と食い気味に答えが返ってきた。

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山の神、昨年6月、山形へ移籍したGK・山岸範宏のことである。『J1昇格プレーオフ(PO)』準決勝・ジュビロ磐田戦で決めたヘディングシュート、決勝・ジェフ千葉戦で連発したスーパーセーブで、“ギシさん”は“山の神”の称号を得た。同じく開幕前、山の神に槙野の言葉をぶつけた。キャプテンマークを巻く36歳は「誰に点を取られても悔しいし、誰にもゴールを許したくない。特に槙野に点を取られたくないというわけではないが」と前置きしつつ、「彼に点を取られると後々うるさいですから」と笑った。

2001年から浦和ひと筋のプロ生活を送ってきた守護神にとって、3月14日(土)・埼玉スタジアム2002での試合は特別な思いがある。「13年半いたクラブと対戦するのは特別な感情がある。埼スタのアウェイに乗り込むのはこの先のキャリアを考えてもいい経験になる」と思いを馳せる。ただ感傷はない。今季、完全移籍を果たした山岸は山形の人間だ。「僕は山形に拾ってもらった。自分のキャリアを甦らせるきっかけをくれたクラブにまだまだ恩返しをしたい」と語る。

第1節を経て、山岸の胸中は勝点獲得のみに支配されていることだろう。ベガルタ仙台とのみちのくダービーは、敗戦に終わった。ひとり少ない仙台を崩し切れず、試合終了間際『J昇格PO』の再現を狙い、山岸はコーナーキック時に相手ゴール前に陣取った。だが、逆にカウンターを食らい、0-2とされた。

一方、浦和は落ち着いてホーム開幕戦を迎える。公式戦3連敗で臨んだ『明治安田J1』湘南ベルマーレ戦で、4か月ぶりとなる勝利を挙げた。運動量で勝る湘南に対し、ペースを掴めないままPKを献上し、先制点を許した。昨季終盤から続く、負のスパイラルに陥るかと思いきや、5分後にはFW・興梠慎三のヘッドで追いつき、後半はゲームをコントロールした浦和がMF・宇賀神友弥のミドル、DF・那須大亮のヘッディングで試合を決めた。ただ、内容についてはまだまだである。試合後、ペトロヴィッチ監督も「私は前半も後半もあまりいいゲームではなかったように思う」と口にした。

勝点を積み重ねながら内容を突き詰めていきたい浦和と、とにかく勝点がほしい山形。勝敗の鍵は浦和の戦闘服から山形のユニフォームに着替え、かつてのホームスタジアムに立つ山岸が握っている。3月14日(土)・浦和×山形・埼玉スタジアムのチケットは発売中。