TGS2018の基調講演に登壇したAESFケネス会長

過去最多の来場者数を記録した東京ゲームショウ(TGS)2018で、「eスポーツが“スポーツ”として広がるためのロードマップ」と題した基調講演が開かれた。登壇者の一人であるアジアeスポーツ連盟(Asian Electronic Sports Federation=AESF)のケネス・フォック会長は、アジアにおけるeスポーツの発展に必要な要素について語った。

AESFは、アジア全域のeスポーツを統括し、発展させようと活動している団体。今年ジャカルタ・パレンバンで開催された「第18回 アジア競技大会」では、デモンストレーション競技に採用されたeスポーツの試合を取りまとめていた。

フォック会長は講演で、「われわれはeスポーツを推進しているが、最も重要なポイントは、アジア全体で参加者を増やすこと。すでにアジア大会を開いたが、将来的にはeスポーツを五輪の競技にすることを目指している。そのためにはまず、アジアで健全なエコシステムを形成する必要がある」と述べている。

eスポーツが正式に競技になった場合、選手を派遣するためには、各国が自国のオリンピック委員会に認められた唯一のeスポーツ団体を持っていなければならない。なお、「第18回 アジア競技大会」ではデモンストレーション競技だったので、条件は緩和されていたとみられる。

現在のアジアには、「日本eスポーツ連盟(JeSU)」のように自国のeスポーツを統括しようとする団体が、ない地域もある。あったとしても、自国のオリンピック委員会と連携していない場合もあり、足並みはそろっていない。AESFはこの状況を変えるべく、草の根活動や各国政府との協力などを通じて、アジアのeスポーツ業界の体制を整えていく考えだ。

「今後、数年は草の根レベルの活動で認知を広げていく。エコシステムができあがれば、アジア大会や五輪まで持ち上げられる可能性はあがる。そのうえで、暴力性の有無など、五輪で認められる価値を盛り込まなければならない」としつつも、「eスポーツだけの五輪ができたら、それは夢のようだ」とフォック会長は期待する。

五輪のようにさまざまなスポーツの大会が寄り集まった催し物が、ゲーム業界にもある。毎年夏にラスベガスで開催されている世界最大級の格闘ゲーム大会「EVO 2018」は、「ドラゴンボールファイターズ」「ストリートファイターV アーケードエディション」「鉄拳7」など、メイン種目だけでも8種目あり、まるで陸上競技大会のようなイベントといえる。

日本でも、CyberZとエイベックス・エンタテインメントが運営する「RAGE」は、カードゲーム「シャドウバース」やシューティングゲーム「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」など、複数のタイトルの大会を1つの大きなイベントとしてまとめている。

「RAGE」は総来場者数が3.5万人を超え、「EVO」のインターネット配信は最大同時視聴者数が最低でも約25万人を超えているなど、参加者も、現地を訪れる観客も、配信の視聴者も多く、両大会はゲーム関連イベントの中でも波及力は大きい。権利や規模など、さまざまな問題はあるものの、さらに大規模な「eスポーツだけの五輪」が開催できれば発展の起爆剤になるはずだ。

TGS2018の基調講演「eスポーツが“スポーツ”として広がるためのロードマップ ~クリエイティブからファンづくりまで、ゲーム業界が取り組むべき課題と今後の展望」に登壇したのは、日本eスポーツ連合の岡村秀樹会長、カプコン常務執行役員の荒木重則・eSports統括本部長、コナミデジタルエンタテインメント「ウイニングイレブン」シリーズの森田直樹制作部長、日本サッカー協会の岩上和道副会長、フォック会長だった。モデレーターは、日経クロステックの玉置亮太副編集長が務めた。(BCN・南雲 亮平)

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