子どもが3歳近くなると、「幼稚園をどうするか?」という問題が出てきますね。

ママが仕事をしていると、おのずと保育園という選択になるかもしれませんが、祖父母から「幼稚園の子の方が勉強ができるよ」と言われて困っているママもいるようです。

祖父母世代と現在では、幼児教育を取り巻く環境もずいぶん変わっているのですが、さて、実際のところはどうでしょうか?

今日は『モンテッソーリ教育で伸びる子を育てる』の著者で、3歳から6歳までを預かるプリスクールを経営し、保育士としても実際に子ども達を指導している平川裕貴がお話したいと思います。

筆者が感じた幼稚園と保育園の違いは?

筆者のスクールは、2006年から、日本と欧米の優れた点を取り入れ、さらに幼稚園と保育所の良い点を取り入れた英語プリスクールとして、3~6歳児を毎日預かっていますが、もともとは子ども英会話教室としてスタートしました。

1988年から大阪や神戸で開校した教室は、当時まだ珍しかった外国人講師が教える子ども専門の教室で、教育熱心な阪神間の幼稚園児や保育園児がたくさん来ていました。

そこで、幼稚園児と保育園児の違いを感じることが多かったのです。当然ながら、幼稚園や保育園によっても差がありましたから、あくまでも全体としての印象ではありますが、当時筆者が感じた違いをまずご紹介しましょう。

<幼稚園児のメリット>

・お行儀が良い
・先生の指示をよく聞く
・文字や数などお勉強的な知識がある
・集中して椅子に座っていることができる

<幼稚園児のデメリット>

・おとなしくあまり覇気がない
・先生の指示がないと動けない
・アイデアや創造性などに乏しい
・集中して椅子に座っていることができる

<保育園児のメリット>

・明るく活発でものおじしない
・おしゃべりで口が立つ
・遊びのアイデアが豊富で元気
・自分のことは自分でするという生活力がある

<保育園児のデメリット>

・行儀はあまり良くない
・先生の言うことを聞かないことも多い
・ジッと座っているのは苦手

幼稚園児は保育園児より勉強ができるのか?

さて、ここで気になる「幼稚園児は保育園児より勉強ができるのか?」について考えてみましょう。

確かに、幼稚園は文部科学省管轄で、教育施設という区分になっていますし、その後の小・中・高校も文部科学省管轄ですから、ここでいう勉強を学力に限れば、多少有利な面があるかもしれません。

一方、保育園は厚生労働省管轄で、児童福祉施設という区分になっています。もともとは、親の就労や病気などで面倒を見てもらえない子どもを預かるための施設で、勉強をさせるという目的ではありません。

ただ、勉強を単なる知識の習得に限らず、コミュニケーション能力であったり、創造性や逞しさを身に付けることなども含めて考えると、保育園児が幼稚園児より劣るとは言えません。

特に現在は、IQや学力テストでは測れない、社交性や自尊心、忍耐力や協調性などの非認知能力を育むことが大切で、それらが将来の成功に結び付くという学説が数多く発表されています。

幼児期に先取りして知識を学んでも、小学校の3,4年生頃には差がなくなるとも言われており、世界全体で、知識偏重の詰込み型幼児教育は見直されています。

そういう状況を考えると、祖父母世代が言う「幼稚園児の方が勉強ができる」というのは、当たらないと言えます。