撮影:福家信哉 撮影:福家信哉

10月23日(木)より大阪・ABCホールにて『Small Town, Big City~大阪でひろった4つの小石~』が上演される。総合演出をPiper・後藤ひろひとが担い、後藤と玉造小劇店・わかぎゑふ、空晴・岡部尚子、THE ROB CARLTON・村角太洋が脚本を担当した4作品を繰り広げるオムニバス舞台だ。ぼんちおさむ、福本愛菜が作品をつなぐ狂言回しの役割を担い、関西の小劇団を中心に活動する俳優陣が出演する。

「Small Town,Big City ~大阪でひろった4つの小石~」チケット情報

大阪府を東西南北に分け、それぞれの地域の物語が展開する。総合演出の後藤が「信頼があり、何かやってくれるだろうし、それぞればらばらな作品を書いてくるだろう」と確信して、3人の作家に声をかけた。「1つの舞台の現場に複数の作・演出家が集うことはものすごく楽しい」と後藤、声を弾ませる。

後藤は西側担当、大正区の物語だ。「沖縄と大阪の雰囲気が良く出ています」と、実在する商店街や場所も盛り込んだ。わかぎは南担当。後藤からの注文が“あまり有名じゃない場所の話”ということで、ローカル線の水間鉄道に入社した青年の物語を書き下ろした。「2000年までは小劇団のコラボ公演などたくさんあったのですが、随分静かになってしまって。でもこうして久しぶりにできて楽しいです」とわかぎ、この4人での取り組みが、舞台はもちろん関西小劇場界にケミストリーを起こしたら面白いと期待を寄せる。

東エリアを担当する岡部の作品は門真が舞台だ。劇団で発表したリーディング作品『一番の誕生日!』を20分の芝居に置き換えた。「門真と言っても駅は古川橋という勘違いがよくあって。いつも誤解や勘違いが招くシチュエーション・コメディを書いているので、ちょうどいいかなと思いました」と岡部。3人の男が分娩室の前で出産を待つストーリーだ。最若手の村角は北側担当。「北摂ということで、舞台は阪急の高槻市駅のホームです。終電を待つ間の20分間をリアルタイムで体感する二人芝居です」と村角。普段の脚本は標準語が多く、関西弁で初めて書いた。「俳優もあまり関西弁を使う芝居に出たことないので、それも新しい挑戦です。派手ではないですが、地味に面白いことができるのでは」と意気込んだ。

上演順は未定だが、最終的には一つの場所へと着地する。「ダイナミックなことをするわけでなく、副題にもあるように“拾った小石”ぐらいの感覚」と後藤、身近に感じられるようなオムニバス人情コメディを贈る。

公演は10月23日(火)から25日(木)まで、大阪・ABCホールにて。チケットは発売中。

取材・文:岩本和子

「ウレぴあ総研」更新情報が受け取れます