新たにiOS対応モデルが登場した「TransferJet対応アダプタ」

スマートフォンやPCなどの端末間で、ワイヤレスでデータを転送する場合は、Wi-FiやBluetoothを利用して通信する方法が一般的だ。しかし、通信するたびに接続先を指定しなければいけなかったり、通信速度が遅かったり、どちらの規格も欠点がありベストな選択肢とはいえない。そんな不満を一挙に解消し、端末間のデータ転送を快適にしてくれるのが、近接無線技術「TransferJet(TM)(トランスファージェット)」だ。

TransferJetとは、対応する端末間で最大通信速度560Mbps(最大実効レート375Mbps)のスピードでデータを転送する無線規格のことである。大量の写真や動画などの大容量データも一瞬でやり取りすることができる。東芝の「TransferJet対応アダプタ」が便利なのは、この圧倒的な転送スピードに加え、対応する端末であれば、スマートフォンやタブレット端末、PCなど、利用端末の種類を問わないこと。この春、待望のiOSモデルが登場したことで、より幅広いユーザーが利用できるようになった。

●iOSモデルの登場で利用シーンが拡大

これまで東芝は、「TransferJet対応アダプタ」として、Windows PC用のUSBモデルとAndroid端末用のMicroUSBモデルを販売してきた。家族や友人同士で写真や動画を手軽に共有したり、スマートフォンのバックアップ用にすばやくPCにデータを転送したり、その活用方法は自由自在だ。一度、これを利用してしまうと手放せないモバイルツールとして高い評価を獲得していた。だが、これまで、iPhoneやiPadを愛用するユーザーは、この恩恵を受けられなかった。 iOS対応モデル登場を望んでいたのは、iOSユーザーだけではない。データを転送する際、どちらのデバイスにもアダプタを接続する必要があるので、AndroidユーザーもiOS端末に対応しないことにストレスを感じていたためだ。iOS端末/Android端末/PCの間で、TransferJetを利用できる環境が整ったことで、iOSのみならず、Androidユーザーの利用シーンも拡大する。

●iPhoneだからうれしい! TransferJetの便利ポイント

iPhoneやiPadなどのiOS端末は、それ1台で満足に使いこなせるシンプルさに定評がある。一方で、microSDカードなどの外付けメモリに対応しておらず、不満をもつユーザーが多かった。理由は、撮影した写真や動画などの大容量データを別の端末に転送する際、非常に手間がかかるからだ。PCにバックアップをとるだけでも、ケーブルを接続したり、ファイルをPCから選択したりといっためんどうな作業が発生する。これが、TransferJetを利用すれば、端末に接続したアダプタ同士を約3cmの距離に近づけるだけで、データをすばやく転送することができる。こまめに写真や動画のデータのバックアップをとれば、iPhoneユーザーの多くが抱えるストレージ容量不足の悩みを解消できる。

iOS端末間でデータを転送する「AirDrop」を利用すれば、TransferJetは不要だと思う人もいるだろう。しかし、AirDropの転送速度はTransferJetと比較すると遅く、大量の写真や動画ファイルを転送するとなると、うんざりするほど時間がかかってしまう。その点、TransferJetは高画素の写真やフルHD動画の転送も一瞬。例えば、「旅行で撮りためた大量の写真を友人とその場で共有したい」というようなシチュエーションであれば、断然、TransferJetの方が便利だ。

●簡単操作&驚異のスピード! 大容量データ時代の必需品

ここからは、実際に「TransferJet対応アダプタ」を利用して、具体的な使用方法や転送速度をレビューしていく。まずは、アダプタを利用するための手順を説明しよう。

「TransferJet対応アダプタ」を利用する際は、事前に専用アプリを端末にインストールする必要がある。iOS端末であれば「TransferJetApp」、Android端末とPCであれば「TransferJet Utility」をダウンロードしよう。アダプタを接続すれば、すぐにアプリを利用することができるようになる。

今回は新しく対応したiOS対応アダプタを利用するので、iPhone6を使用する。転送するのは、USBモデルの「TransferJet対応アダプタ」を接続したPC。iPhoneで撮影した写真と動画のバックアップをとる、という想定で、転送時間を測定してみた。

まずは、iOSアプリ「TransferJetApp」を起動。iPhoneから送信・受信できるデータは、連絡先・画像・動画の3項目だ。ホーム画面から「画像・動画の送信」を選択し、転送したいデータにチェックマークをつける。Android端末だと、ギャラリーなどのアプリを経由する必要があるが、iOS端末だと一つのアプリ内ですべての作業が完結するので、操作がスムーズだ。

転送はデータをやり取りする端末のアダプタを約3cmの距離に近づけるだけで、自動で開始。あまりに高速で転送するので、初めて利用したときは誰でもそのスピードに驚くだろう。検証では、iPhone6で撮影した写真を転送したが、アダプタを近づけた瞬間に転送を完了した。動画ファイル(20MB)で試してみたところ、約3秒でPCにデータを転送。即座に再生することができた。

Wi-Fiの約10倍、Bluetoothの約100倍の高速転送を実現するというTransferJetの実力は、転送するデータの容量が大きいほど実感する。それなりに時間がかかっていた作業が一瞬で完了するので、一度慣れてしまうと、これまでの転送方法には戻るのはかなり抵抗がある。高画素化が進むスマートフォンのデータは、今後ますます大容量になるため、TransferJetの実用性は増してくるはずだ。スマートフォンと「TransferJet対応アダプタ」を常にセットで持ち歩けば、モバイル端末の活用をより効率的にすることができる(ライター・星政明)

※対応OS:Windows7,8、Android 4.0~4.2、iOS7.1,8.1。一部対応していない機器があるので、東芝ホームページの動作確認機器一覧(http://www.toshiba.co.jp/p-media/compati/transferjet_list.htm)をご参照ください