3. 子どもには「あまり車のこない裏道ほど、注意しなさい」と教えたい

また、子どもが小学生になれば、子どもが一人で自転車を乗り回すケースも出てきます。

主婦の自転車事故の傾向に、それほど大きな特徴がない一方で、子どもが自転車事故に遭うのは、圧倒的に、裏道・脇道の交差点での、“出会い頭” なのだそうです。

ちょうど、私の自宅周辺が、閑静な住宅街で、交通量の少ない裏道といった雰囲気です。車を運転するときは、とても神経を使いますし、逆に、子どもを連れて歩いているときも、やはり神経を使います。

子どもは、遊びに夢中になっていたり、「車なんかこないだろう」と油断していたり、不意に飛び出しすケースが多々あります。

子どもにとって、信号を守ったり、前から来る車を避けるのは簡単でも、見えない危険を予測して行動するのは、難しいんですよね。

すなわち、子どもが一人で自転車に乗るようになったら、「交通量の少ない裏道・脇道ほど、注意しなさい」と教えるべき、という結論になります。
 

4. 「左側通行」と「ヘルメット装着」だけは絶対に守る!!

※車道を逆走(右側通行)する主婦の一例

疋田智さん(NPO法人自転車活用推進研究会理事・ツーキニスト)は、主婦の自転車マナーへの意識と、自転車利用の実態が乖離している状況を語ります。

一時期、テレビのワイドショーを中心に、自転車のマナーについて、たくさん特集されていたのを覚えているでしょうか。

こうしたマスメディアの影響なのか、主婦にアンケートを採ると、6割以上が「この1年間で自転車マナーを意識するようになった」と回答しているそうです。

具体的には、自分が歩いていて、携帯電話を使用しながらの運転や、イヤホン・ヘッドホンをしながらの運転に、危険を感じるという回答が多くありました。

※自転車専用道路を逆走する主婦の一例。道路中央の青年は、やむを得ず道を譲っている

ところが、いざ自分が自転車を運転すると、ついつい「歩道走行」や「逆走(左側通行を守らない)」といった違反をしてしまっているそうなのです。

また、子どもを持つ主婦の半数以上が、「子どもに、ヘルメットやシートベルトをさせずに、乗車させた経験がある」という結果も出ています。

疋田智さんは、2つのポイントを力説していました。まず、左側通行を守っていれば、自転車事故の大半を占める “出会い頭” の事故は、ほとんど起きない、ということ。

そして、ヘルメットを全員が着用すれば、自転車での死亡事故の6割以上を防げる可能性がある、ということ。死亡事故の64%が、地面に投げ出されて、頭部損傷で亡くなっているからです。
 

5. メンテナンスに自信がなければプロに頼む方法もある

続いて、長谷部雅幸さん(公益財団法人シマノ・サイクル開発センター 自転車博物館事務局長・学芸員)が、メンテナンスの面から、自転車の安全性について、説明してくれました。

・ブレーキのメンテナンスをサボると、濡れている路面で、16km/hから停車するのに、最大で3.5mも余計にかかってしまう
・タイヤ空気圧が低すぎると(200キロパスカル)、適正な場合(460キロパスカル)と比較して、24メートルのS字カーブを走るのに、1.8倍も時間がかかり、またカーブも曲がりにくくなる
・世界標準と異なり、日本では右手側が前輪ブレーキとなっており、摩耗しやすい。特に、子ども同乗自転車や、電動アシスト自転車は、重く、ブレーキの負担が大きい

など、自転車をメンテナンスせずに放っておくと、どんな危険があるのかがわかる、興味深い内容でした。

もし自分でのメンテナンスが不安なら、「自転車安全整備士や、自転車技師がいるお店に任せるといい」とのことです。