約1年半ぶりとなる新モデルは「IQOS 3」と「IQOS 3 MULTI」の2機種。気になる販売戦略は?

いまや日本のみならず世界各国でも広く浸透してきた加熱式たばこ。その代表格といえる「IQOS」の約1年半ぶりとなる、待望の新モデル「IQOS 3」が発表された。新モデルは「2ラインアップ展開」「デザイン・設計の大幅刷新」「4色のカラーバリエーション」など、注目ポイントが目白押し。10月23日には、東京・新宿の「パーク ハイアット東京」でグローバルプレスカンファレンスが開催された。

「IQOS 3」が披露されるのは、今回の発表会が初。日本がその舞台に選ばれたのは、IQOSにとって日本が最大の市場だからだ。フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)のアンドレ・カランザポラスCEOによると、日本のIQOSユーザーは世界でもっとも多く、その数は製品を展開する他国の合計を上回るという。

日本は法規制で二コチンを含む電子タバコを未承認の医薬品としている特殊性など、理由はいくつかあるが、PMI以外の加熱式たばこメーカーにとっても日本市場の重要性は変わらない。競合の大胆な価格戦略もあり、一部ではIQOSの優位が失われつつあるという報道もある。PMIとしては“IQOS離れ”を解消し、再びシェアを伸ばしていくために、日本での存在感を高めることは欠かせなかったというわけだ。

新モデルは両機種ともに、キーテクノロジーの加熱システムやタバコの味自体に変更はない。しかし、新モデルのキーワードメッセージに掲げる“THIS CHANGES EVERYTHING(これがすべてを変える)”に偽りはないと思う。なぜなら、これまでのIQOSには多くの欠点があったから。カランザポラスCEOも「IQOSはけして完璧ではない。多くの弱点をもっている」とコメントしたが、フタがすぐに壊れたり、充電ミスが多かったり、連続で使用できなかったり……ユーザーであればいくつでも不満をあげることができるだろう。

「IQOS 3」はこの“不満の解消”に全力を注いでいる。フタの問題はホルダーの開閉部を本体横にすることで解消。全方位対応のマグネット式の格納に変更することで充電ミスが起こりにくくした。設計上、実現が難しかった連続使用のニーズに対しては「MULTI」という新たな選択肢を用意することで応えた。

税込で「IQOS 3」が1万980円、「IQOS 3 MULTI」が8980円とやや値は張る。従来モデル「IQOS 2.4 Plus」も併売するが、そちらも価格は7980円。ライバルのプルーム・テックやグローは2000円台にまで価格を落として販売しているが、そこで勝負するつもりはない。加熱式タバコ市場が成熟してくれば、よりよいものが選ばれるはずという長期的な予測も働いているのだろう。

4色のカラーバリエーションも販売戦略を解き明かすうえで外せない。「女性や年配の方など、まだ訴求しきれていないユーザーにも効果的にメッセージを発信していきたい」(アンドレCEO)。これまでチャージャー上部を差し替える色違いのアクセサリを販売していたが、今回はそれに加えてホルダーのフタもカスタマイズできるようにした。「IQOS 3」であれば、最大576通りの組み合わせが可能だという。おしゃれ感覚でパーツをカスタマイズする楽しみは、競合にはないIQOSならではの魅力といえる。

タバコを取り巻く環境は加熱式を含めて厳しくなってきている。10月の値上げはもちろん、2020年の東京オリンピックに向けて法規制がますます進むのは確定的だ。アンドレCEOはIQOSの五つの約束の一つに「科学へのコミットメント」をあげたが、アピールする健康リスク低減の信頼性をいかに高めるかがシェア拡大の最重要要素とみる。「どこかの段階では政府の推奨も必要になってくるだろう」。初代モデル登場時のIQOS旋風を再び巻き起こせるかは、デバイスの魅力だけでなく、IQOSブランドのメッセージの信頼性を高められるか否かにかかっている。(BCN・大蔵 大輔)

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