主人公のレイ・ドノヴァンを演じるのはリーヴ・シュレイバー。

映画『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』、『大統領の執事の涙』などに出演しているほか、舞台では米国演劇界最高峰のトニー賞助演男優賞を受賞した経歴を持つ、バリバリの演技派だ。
 

  

190cm以上の堂々とした体躯で常にダークスーツを着こなして現れる。どんな修羅場でも動じず、淡々と仕事を片付けるフィクサー。裏稼業をパーフェクトにこなす一方で、家族をこよなく愛する家庭人でありたいと務める。

真逆の顔を持つ自分に葛藤し、時には怒りを爆発させることもあるレイを、シュレイバーは凄みと渋みでハードボイルドな男を演じつつも、共感を誘うキャラクターに作り上げている。
 

  

一方、父親ミッキーには『真夜中のカーボーイ』『帰郷』で知られるオスカー俳優のジョン・ヴォイト。

独特のオーラをまとった彼が、何を考えているのかわからないミッキーの不気味さや狂気を体現。この演技で第71回ゴールデン・グローブ賞助演男優賞を獲得。シュレイバーとヴォイトの二人が、父子の愛憎をぶつけ合い、切るに切れない血縁の深さを見せつけるシーンには圧倒される。

 

  

そんな父子の愛憎が絡み合う人間ドラマと共に描かれる、敏腕フィクサー、レイ・ドノヴァンがハリウッドセレブのスキャンダルをどうもみ消していくのかという解決法も本作の見どころなのだが、レイのもとに持ち込まれるセレブたちからのトラブルは実に種々雑多。そして、現実のハリウッドスキャンダルを彷彿とさせる。
 

CASE1. 一夜の相手が薬物の過剰摂取で死亡

プロバスケット選手が目覚めると、昨晩、彼の相手をした女性が薬物の過剰摂取でベッドの中で死亡。後始末を頼まれたレイは、ゲイ疑惑がかかっている俳優がその女と一緒にいたような偽装をして、バスケ選手の問題もゲイ疑惑の俳優の問題も一石二鳥で片づける。
  
REALな事件

薬物の過剰摂取とは、昔から切っても切れないハリウッドのセレブたち。

古くはマリリン・モンローから、青春スターだったリバー・フェニックス、映画『ダークナイト』のジョーカー役が鮮烈な印象を残すことになったヒース・レジャー、そして2014年にはオスカー俳優フィリップ・シーモア・ホフマンなどが亡くなっている。

もっとも薬物依存症となり、克服に苦しみながらも紆余曲折を経て、映画『アイアンマン』で見事に復活を遂げたロバート・ダウニー・Jrのように第一線で活躍している人たちも数多くいる。

CASE2.人気アクション俳優のゲイ疑惑

公開寸前の主演映画を抱えるアクション俳優が、女装した男性との怪しげな写真を撮られてゲイ疑惑が噴出。その噂を払しょくするために、バスケの選手の事件(CASE1)を利用。ただし、その後も同俳優はゲイ疑惑をもたれるような騒ぎを起こす。

REALな事件

近年はゲイ、レズ疑惑をもたれても、あるいはもたれる以前に自らカミングアウトするセレブたちが増えている傾向にある。

そんな中で、パパラッチたちの注目を一身に集めていると言ってもいいのが、ジョン・トラボルタ。

70年代大ブームになった『サタデーナイト・フィーバー』で一世を風靡した後は低迷期もあったが、クエンティン・タランティーノ監督の出世作『パルプ・フィクション』で再び脚光を浴びて今やハリウッドの大御所に。

だが、2012年に男性マッサージ師にセクハラを訴えられ、飛行機好きで知られる彼はお抱えのパイロットからも訴訟を起こされ、ゲイ疑惑をもたれるようになってしまった。

しかも、15年のアカデミー賞授賞式ではレッドカーペットでのスカーレット・ヨハンソンヘの過剰なスキンシップをはじめ、彼の怪しい行動が何かと話題になった。


CASE3.有名ミュージシャンの養子獲得騒動

音楽的な才能ある少年を養子に欲しいと言い出したミュージシャンからの依頼。少年の母親が薬物依存症だったことからその母親に多額の金を握らせて、親権を買い取り、養子のための裏工作をする。

REALな事件

セレブの間では、実子の有無にかかわらず、養子を取ることが少なくない。

たとえば、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリーにマドンナ、ヒュー・ジャックマン、サンドラ・ブロック、シャーリーズ・セロンなど多数。また、同性愛カップルの間で養子を取ることも増えている。

そんな中で、今、世間を騒がせているのは、大御所ミュージシャンのエルトン・ジョン。代理母を介してパートナーとの間に二人の息子がいるが、有名ファッションブランド、ドルチェ&ガッパーナのデザイナーの発言をめぐって大激怒。不買運動を呼びかけるまでの騒ぎになり、波紋を呼んでいる。