修道僧たちが始めた「薬局」サンタ・マリア・ノヴェッラ

イタリア中部の街、フィレンツェ。今もルネッサンスの華やかな雰囲気が残る芸術の街です。そうしたフィレンツェの繁栄を築いたのが、中世に銀行業で成功したメディチ家。メディチ家は芸術家のパトロンとなり、たくさんの芸術家を育て、街は商業と芸術の街として大いに栄えました。

そんな時代に生まれたのが、世界最古の薬局「サンタ・マリア・ノヴェッラ」。始まりは1221年、サンタ・マリア・ノヴェッラ修道院に務める修道僧たちが、自ら栽培した草花を使い、修道院内で薬剤や軟膏、鎮痛剤を調合し始めたことからでした。現在でも「香りに癒される」としてアロマセラピーやハーブティで心を落ち着けたり、やる気を引き出したりしている人たちが多くいますが、そうした「香りと癒し」を広めたのはサンタ・マリア・ノヴェッラなのです。

また、オーデコロンの起源である「王妃の水」を作ったのもサンタ・マリア・ノヴェッラ。「王妃の水」のレシピを修道尼から手に入れた旅商人がドイツのケルンで商売を始め、それがフランスへ。フランスでは「ケルン」を「コロン」と呼んでいたため、「ケルンの水」は「コロンの水」、すなわちオーデコロンとなったのでした。

 

それから800年近い歴史を経て、今もサンタ・マリア・ノヴェッラは自然治癒・予防医学のコンセプトに基づき、ハーブの効果や効能を最大限にいかしたレシピで作られたスキンケア商品や香水、ポプリなどを扱っています。日本でも全国に12店舗を展開。お店に近づくにつれ、かぐわしい香りがしてきて、それだけでリラックスしてしまいます。

商品は鍵付きの棚の中に整然と並べられており、かつて薬局として始まったことが今にも伝えられていることが分かります。お店では商品リストを配布しているので、それを見て決めるもよし、また、スタッフの方に相談するとさらに詳しいことも教えてくれる上に、自分にぴったりの商品が見つけられます。