その3 焼き鳥と酒の相性とはこれいかに

焼き鳥と酒の相性は抜群だ。しかしその理由となると「はて?」となる。まずビール。これは、炭酸と苦みが焼き鳥の脂を中和し、爽やかな後味を楽しませてくれるため。日本酒の主成分グルタミン酸は、肉に含まれるイノシン酸との相乗効果で、旨みを増してくれる。

昨今人気な焼き鳥とワインの組み合わせだが、辛口の白がさっぱりした塩焼き鳥と相性がよく、好まれる。対してタレにはスパークリングか赤が好相性な模様。

 

その4 風土や産物、気質まで反映したご当地焼き鳥とは

焼き鳥には土地のアレコレを反映した「ご当地焼き鳥」が存在する。豚ロースとタマネギを串に刺し、洋ガラシで食べる北海道の「室蘭やきとり」、鶏の内臓各種を串に刺した北海道の「美唄やきとり」、オーソドックスな福島県「福島やきとり」、豚のカシラに辛みそダレをつける埼玉県「東松山やきとり」、鶏皮を鉄板で焼く愛媛県「今治やきとり」、ガーリックパウダーをかける山口県「長門やきとり」、馬の内臓を焼く「久留米やきとり」などなど。愛知県にも八丁味噌に醤油や鷹の爪を入れた独特なタレを焼き鳥にたっぷりつけて食べる「味噌さがり」が存在する。

各地に出かけたら土地の風土と文化を味わうつもりで、焼き鳥店へ向かうべし。

 

その5 どうして「備長炭」を使うのか?

備長炭を日本に伝えたのは、平安時代の高僧・空海。中国から製炭技術を持ち帰り、和歌山県に伝えたのがその始まり。備長炭の名称は、元禄時代の紀州の炭商人・備中屋長左衛門が名前の二文字を取って付けたもの。備長炭には「紀州」をはじめ、「土佐」「日向」のブランドもあるが、中でも和歌山は生産量、炭質ともに日本一を誇る。

備長炭の特徴は、火は着きづらいが高音で火力が強く、素早く旨みを閉じ込めることができるうえ、炎が立ちにくく、食材が焦げず匂いも付かない。さらに遠赤外線効果により、外はカリッと中はふっくらジューシーに焼き上がる。まさに美味しい焼き鳥のための炭なのである。


 

その6 謎の焼き鳥団体「全や連」とはいったいなんだ?

「全国やきとり連絡協議会(通称:全や連)」は、2006年に創立された団体。日本を代表する「和食」である「焼き鳥」を世界に向けて発信するため、北海道室蘭市、美唄市、福島県福島市、埼玉県東松山市、愛媛県今治市、山口県長門市、福岡県久留米市という焼き鳥食文化が盛んな7つの「焼き鳥の街」が集まって結成した。

主な活動は「やきとリンピック」、24.83メートルにも及ぶ「世界一長い焼き鳥に挑戦」などのイベントを開催。さらに2013年に東京都千代田区大手町に「全や連総本店」が開店。7つの焼き鳥の街の焼き鳥が東京で食べられると話題になっている。