からだや脳の働きを健康に保つには「質のよい脂肪を十分に摂り、糖質の摂取量を減らす」努力が欠かせないという。
しかし、“コレステロールは体に悪い”という一般的な認識から、私たちは適切な脂肪の摂取から遠ざけられてきた。

コレステロールはなぜ、体に悪いと言われ続けてきたのか?

その背景には“いろいろな事情”があるようだ。

お話を伺ったのは、アメリカでベストセラーとなり日本でも大きな反響を呼んでいる『「いつものパン」があなたを殺す』の翻訳者であり、自らも健康や生活習慣に関する数多くの著書を持つ、順天堂大学大学院教授・白澤卓二先生。

小麦に含まれるグルテンや炭水化物(糖質)が身体におよぼす影響についての話をまとめた前回の記事と、併せてご覧いただきたい。

参考:『「いつものパン」があなたを殺す』、白澤卓二教授に聞いた“グルテン”と“脳”の真実とは(ウレぴあ総研)
 

“コレステロールは体に悪い”は嘘だった

「コレステロールの問題は深刻です。コレステロールは脳に必要なのに、これまで、わざわざ下げることが推進されてしまっているのですから。
問題はコレステロール値が高いことではありません。オメガ3(魚油やアマニ油、シソ油、動物性脂肪などに含まれる)が足りず、オメガ6(紅花油、コーン油、大豆油、菜種油などの植物油)の摂取量が多いことなのです。問題がすり替えられているんです。そのことを見抜くべきです」

2015年2月、米政府の食生活ガイドライン諮問委員会より「コレステロールの摂取は健康に影響しない」との見解が示されたことをご存知の方もいるだろう。

高コレステロールの食材を口にしても、実際のコレステロール値には影響しない。「脳」の重量の約20%はコレステロールでできており、「脳」の機能を保つためには、オメガ3や動物性脂肪(肉・卵・バター・チーズなど)をむしろ積極的に摂る必要がある(※)。コレステロール値が低いと脳の働きが悪くなり、認知症になるリスクも高まるという。

※脂肪やコレステロールと同時に多量の「糖質」を摂取してしまうと、LDL(いわゆる悪玉と呼ばれるコレステロール)が酸化し、動脈硬化や脳の機能低下を引き起こす。高脂肪の食品を食べる場合には、“炭水化物の摂取を減らす”ことが前提となる