例えばキッチンには、手作りの瓶詰が並んでおり、その他の部屋には手芸の作品が並ぶ。そして、それらを素敵な写真におさめ、ブログで発信し多くのファンを獲得。時にはそのブログから手作りマフィンの店で大成功したり、本を出版して有名人になる方もいます。

SNSの進化により、「魅力的な生活」を表現することで、ビジネスチャンスと遭遇する機会が増えました。会社で働いていなくても、自宅にいるだけで「承認欲求」を満たすことができ、ファンや仲間と出会うこともできます。また、手作り製品を取り扱うネットショップも数多く出てきたことで、プチ主婦起業をして小遣いを稼ぐことができるのです。

夫と子供のことでてんやわんやになり、自分のことを後回しにしてきたこれまでの主婦像と違いますよね。

アメリカといえば、日本よりも女性の社会進出がはるか進んでいるというイメージがあります。現にFRB(連邦準備制度)の議長は女性になり、ジェンダーギャップ指数104位の日本よりも、アメリカは男女平等が進んでいる国です。しかし、そういった女性の社会進出に、彼女たちは満足していなかったのかもしれません。

「アメリカの中産階級の20代から30代の女性は、『インスタントの食材で家事を放棄し、出世競争にあけくれて、あげくにストレスでいっぱいの母親世代』を反面教師として、今『おばあちゃんの時代のような丁寧な家事をする暮らし』に憧れている。自分たちを誇りをもって『ホームメイカー』と呼んでいます」(同書より)

しかし、こういった生活にもリスクは伴います。それは基本的には大きく稼ぐことはできず、また、基本は経済的に会社員の夫に依存しているという点です。ですので、夫が一昔前の男性ではなく、家事も子育ても協力的であり、体を壊したりウツになって働けなくなることのない健康者というのが条件となります。経済的に夫に依存することがリスクとなるのですね。

「かつて専業主婦は、そういった生き方を強いられていた。だから『自ら働くことを選択』したキャリアウーマンが輝いていた。しかし今や、中流階級の専業主婦は、自らその生き方を選んでいる。専業主婦にしろ、キャリアウーマンにしろ、『自ら選ぶ』ことができる……それが人の幸福感の源泉であると、この『ハウスワイフ2.0』現象は教えてくれるのです」(同書より)

リスクがありつつも幸福感を求める女性たち。やがて日本にも浸透するかもしれない『ハウスワイフ2.0』という価値観。あなたは共感しますか?

【書籍情報】『専業主婦になりたい女たち』ポプラ新書 白河桃子著

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