熱いポップ魂が炸裂! DJカジヒデキ~曽我部恵一BAND

そして、『YATSUI FESTIVAL』の締めくくりに選び、再びダッシュして駆け込んだO-EASTには、DJカジヒデキによるナンバーの数々が響き渡っていた。自身の『ラ・ブーム ~だってMY BOOM IS ME~』やandymoriの『CITY LIGHTS』など、理屈抜きに気持ちが楽しくなってしまうポップ&ロックナンバーの数々に手拍子が巻き起こる。そのピースなムードの中で登場したのは曽我部恵一BANDだ。
曽我部恵一BAND photos by Yuji Honda
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 ちなみに、やっつんがDJを始めたのはこの曽我部恵一の勧めによるものというのは有名な話。その勧めがなかったらやっつんのその後の活動も、『YATSUI FESTIVAL』ももしかしたらなかったかもしれないと思うほど深い関係のバンドのステージがまた、素晴らしすぎる仕上がり!舞台の真ん中で円陣を組み、気合いを一発入れてぶちかました爆音オープニング・ナンバーは『恋人たちのロック』。
曽我部恵一BAND photos by Yuji Honda
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髪を振り乱しながら、メンバー全員が楽器に、そして歌に自らの全精力を叩きつけているかのようなステージからは、ただならない熱気がいきなり弾け飛ぶ。この美しい、渋谷の街──!歌詞をこの日ならではのアレンジにしてみせるのもニクい『トーキョーストーリー』、さらに続いた『キラキラ!』は、パンキッシュな高速ビートに甘酸っぱいメロディを綴り、圧倒的な高揚感で盛り上がりながらもホロッと来る感触がたまらない。
 

「初めてのフェスに俺達を呼んでくれてありがとう、やついいちろう!みんな来てくれてありがとう!最高の祭りだな、これ!」

昼間に会ったゴーイング・松本素生と同じ言葉を、曽我部恵一も嬉しそうに叫ぶ。そう、今日は本当に“祭り”と言う表現がぴったりだ。やっつんもステージに合流してコーラスを思いっきり叫んだ『青春狂奏曲』の風景を眺めていると、音楽で心をときめかせることがいつまでも出来る人間はいくつになっても“青春”は終わらないんだな、なんてことを思ってしまう。年齢もジャンルも何も関係なく、音楽の様々な楽しさを全身で感じまくっている空間──。この『YATSUI FESTIVAL』のステージに立っていたのは、そんな愛すべき音楽バカ達ばかりだった。
 

いよいよ「YATSUI FESTIVAL 2012」最大のサプライズへ…

小室哲哉 photos by Terumi Fukano
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 そんな素晴らしくハッピーな空間も、いよいよ大トリ!盟友・木根尚登が数時間前に自身のライブで歌った『春を待つ』はこの人に向けての曲でもある、TM NETWORKの小室哲哉がまさか自分のフェスのステージに立つなんて、主催者やっつんは感無量に違いない。会場全体から熱い視線が注がれる中で登場したこの日のTKのパフォーマンスは、ターンテーブル2台とRolandのシンセサイザーGAIAを駆使したDJスタイルだ。TOTOの『Child's Anthem』のまさにアンセミックな、勇ましい音色を背に登場し、JOURNEYの『Separate Ways』、U2の『The Electric Co.』……。
小室哲哉 photos by Terumi Fukano
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 その選曲には、日本におけるエレクトロ・ポップの先駆者というイメージからするとちょっと驚いてしまう感じのロックナンバーが並ぶ。あのRAGE AGAINST THE MACHINEの『Bombtrack』やGUNS N' ROSES『Welcome to the Jungle』にTKが奏でるシンセの音色が乗るなんて、一体誰が想像しただろうか。めちゃめちゃレアなステージを実現させてしまった『YATSUI FESTIVAL』、凄いぞ!
 
さらに、NIRVANAの『Smells Like Teen Spirit』、THE CHEMICAL BROTHERSの『Setting Sun feat. Noel Callagher』とロック&ダンサブルなナンバーが続き、TM NETWORKの楽曲からも『Come On Let's Dance』をチョイス!
小室哲哉&やついいちろう photos by Terumi Fukano
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そして、最後はDJやついいちろうとガッチリ肩を組み、ラストナンバーに選んだOASISの『Don't Look Back In Anger』のメロディに合わせてオーディエンスは頭上の両手を揺らし、『YATSUI FESTIVAL』大成功への祝福の歓声を贈る。そして、やっつんもTKへのプレゼントとばかりに、O-EASTを締めくくるDJプレイの幕開けはTRFの『survival dAnce ~no no cry more~』で飾ってみせる。そして、TK節と言ってもいいあの高揚感たっぷりなメロディに合わせて、やっつんの合図でフロア全体が思いっきりジャンプ!?かと思えばフロア全員をしゃがませて、またジャンプ!何なんだろうホントに、この一体感と幸福感で埋め尽くされた空間は……(笑)。