一方、さすがの安定感を見せたのが、こちらは『THE MANZAI』決勝進出、ハマカーンだ。キラーフレーズである「下衆の極み!」を放つとやんやの喝采を浴び、気をよくした浜谷はさらに「鬼畜の所業!」「鬼どもの宴!」と畳み掛ける。これにはさすがに神田が「むやみに連発してるでしょ!」とツッコミ。そして初心に返った(?)浜谷が放ったのは「下衆の極み! インザハウス!」。「数少ない音楽の知識を放り込んだね(笑)」と応じた神田に、浜谷は「音楽的な言葉、これしか思いつかないんだよ!」。しっかりと構築された流れをベースにしつつ、その場その場のノリでアドリブを思い切り入れ込む。人間力を生かした、彼ららしい漫才だったと思う。

キングオブコメディ photos by Yuji Honda
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 そしてお笑い部門のトリとして登場し、魅惑のコントワールドに観客をぐぐっと引き込んだのが、誰あろう『キングオオブコント2010』の王者、キングオブコメディ。オーディションに面接にやってきたのが、今野演じる“出っ歯すぎてまったく聞き取れない男”だったという、ギリギリといえばあまりなギリギリなネタをぶっ込んでみせるあたり、さすがなのか、どうかしてるのか。爆笑とハラハラ感で会場を包んでみせたということだけは間違いない。

キングオブコメディ photos by Yuji Honda
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 なお「キングオブコント」決勝で思い切り噛んだ高橋も、この日は舌好調。そのためか、後に行われたやついのDJでは、ずっとステージの袖から鑑賞し、オーディエンス全体が右へ左へ大移動した「ココ☆ナツ」では一緒になって楽しそうに踊っていたことをここに書き記しておこう。♪コココ、コッコッコッコッコ~って。さも気持ちよさそうに…。
 

音楽×お笑いを体現! 音ネタ編

次は音ネタ編。
「YATSUI FESTIVAL」とは、つまり面白ければなんでもアリなイベントである。そのことが一番体現されていたのが、音ネタとサブカルだったように思う。

まずはコントのネタも披露したX-GUN。なんと西尾は、ネタ終了後にDJとして再度ステージに上がった。そう、それがDJニッチャメン。彼はただのDJではない。ジャニーズだけをかけるのである。SMAP、嵐、タッキー&翼…それだけでも観客はノリノリだが、さらにニッチャメンはブースの前で踊ってみせるのだ。動けるDEBU…もといDJは、とにかく輝いていた。汗が光っていただけ、かもしれないが。

どぶろっくもスゴかった。そしてエロかった。マイクなしで歌った曽我部恵一BANDの感動的なステージの後に、音ネタというプレッシャーはさぞかし大変なものだったと思われるが、どうしてどうして。「女とやりたい」などというパッションをストレートに詞に託した極度の下ネタを、抜群の歌唱力で歌い上げると、シビれたフロアの観客は男女を問わず大歓声。彼らは楽器を使わないだけに、ひょっとしたらその時、彼らは曽我部恵一と同じ場所に立っていたのかもしれない。

そして音ネタの白眉はこの人、マキタスポーツ。長渕から桑田の真似を取り込んだ曲から、完全にビジュアル系になりきって歌いきった曲(ちなみに見た目はそのまま)、「なにも心に残らないのをやります」と言って、リゾート的な映像をバックにただただ爽やかなだけという曲…などなど。高い批評精神と音楽性にあふれる彼のステージは、とにかく見ていて楽しくて仕方がない。そんなステージが終わった後、マキタスポーツは「ノドの調子がわるかったんで不安でしたが、楽しかったですね。今日のお客さんって、音楽のことを知ってるじゃないですか。だからすごくよくわかってくれるし、やりやすかったですね」と、スッキリした表情で語ってくれた。