慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボと日本マイクロソフトは、「高校遠隔授業汎用モデルon Skype for Business」の共同研究で合意した。4月1日の学校教育法施行規則改正で全国の高校で遠隔授業が解禁されたことを受けたもの。両者のノウハウを持ち寄り、コスト・品質ともに全国の高校で導入可能な遠隔授業モデルを研究開発する。慶應大学SFCプラットフォームデザイン・ラボが、今年度上期をめどに研究成果を公開する。

両者は、教育のICT化に向けて、制度・慣習以外の阻害要因「高額」「教職員にとって機器やソフトウェアなどの取り扱いが難しい」などの問題意識を共有。教育機関で普及しているマイクロソフトの統合型情報共有クラウドサービス「Office 365 Education」と、プレゼンス管理・インスタントメッセージ・音声・ビデオ通話・オンライン会議機能を備えるコミュニケーションプラットフォーム「Skype for Business(旧Microsoft Lync)」を活用することで、コスト的にも品質的にも全国の全ての高校で導入可能な遠隔授業モデルの構築を目指す。

また、文部科学省の「高等学校における遠隔教育の在り方について(報告)」で提示する「音声を重視した上で、社会的に受け入れられるコストと品質」の遠隔授業システムへの適合を目指し、遠隔授業を実施する際に最低限用意すべきICTサービス、機器、通信環境、授業運用ノウハウ、ICTサポート体制の情報を体系化し公開する。

さらに、遠隔授業の普及と、子どもたちの学びの多様性実現を推進する活動を実施。今年度から、全国の教育委員会や各学校で実施する遠隔授業の支援活動を行う。活動の一つとして、2か国の教室間をSkypeで接続し、子どもたちが英語でヒントを出し合って、お互いの国を当てる交流学習「Mystery Skype」の活用支援プログラムを開始する。

慶應大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボでは、これまでも、全国各地の高校でICTを活用した遠隔授業の実証研究を推進し、システム開発だけでなく、適切な授業の進め方、適切な通信環境、社会受容可能なコストなど、運用面まで踏み込み、遠隔授業の実用化に必要なノウハウを蓄積してきた。今回、「Office 365 Education」を基盤として活用することで、授業内容や学びの環境に合わせた質の高い遠隔授業を低コストで実現できると判断。日本マイクロソフトとの共同研究を決定した。

日本マイクロソフトの「Office 365 Education」は、2012年から教育機関向けに無償で提供。2015年2月時点で国内ユーザー数が220万人を突破した。「Office 365 Education」に含まれる「Skype for Business」を活用することで、離れた場所を繋いで音声や動画でコミュニケーションしたり、PowerPointで作成したプレゼンテーションを共有したりなど、新たな授業が可能になる。