『オペラ座の怪人』や『キャッツ』で知られる作曲家・アンドリュー・ロイド=ウェバーの代表作のひとつで、1995年のトニー賞で作品賞、作詞・作曲賞、主演女優賞など7部門を受賞した『サンセット大通り』が、ついに日本でも上演される。原作は1950年の同名の映画。今は忘れられたかつての大女優が、若い脚本家・ジョーと出会い妄執を募らせていく物語だ。ブロードウェイではグレン・クローズが演じたヒロイン・ノーマ役に安蘭けい、ジョーと恋仲になる映画会社の若手脚本部員ベティ役に彩吹真央。共に宝塚歌劇団出身で、歌唱力にも定評があるふたりに、日本初演で臨む同作への意欲を訊いた。
ロイド=ウェバーが大好きだという安蘭は「いろんな女優さんがやりたいとおっしゃる大役を演じるのはとても光栄で、神様が巡り合わせてくれたのだと思います。仕事仲間からは『落ちぶれた女優役は、まだ早いんじゃないの』とも言われましたが、去年は『ピアフ』や『MITSUKO』で女性の晩年も演じさせていただいたので、その経験がうまく役に反映できればいいですね。全力を尽くし、足りない部分は勉強します」と語る。
彩吹は「日本での上演が待たれていた作品の初演に参加させていただくので、心して頑張りたいです。若いけれど自分なりの生き方を持ったまっすぐなベティという役を、お芝居でしっかり演じれば、歌でもキャラクターを表現できるかなと思います」と控えめに話す。そんな彩吹を見て安蘭は「結構、そのまんまじゃない? ゆみこ(彩吹の愛称)は、まっすぐないい子だよ。一緒に作品を作ってきた信頼関係があるから、ゆみこには何でも言えるし、ここまでやっても大丈夫という安心感がありますね」。「下級生の時から、とうこさん(安蘭の愛称)の背中を見て、いろいろ教えていただきました。昔は男役同士だったのに、今はスカートをはいて女優としてご一緒させていただくのが不思議です」と彩吹。
男性のメインキャストは、ジョー役の田代万里生と、ノーマの元夫で執事のマックス役の鈴木綜馬。田代と同じ事務所の安蘭は「よく知っているから、ノーマとジョーみたいに私がリードする立場になるのかな」と楽しげに話す。シャネルの生涯を描いたミュージカル『COCO』で鈴木と共演した彩吹は「綜馬さんやとうこさんとは一緒に作品を作り上げた絆がありますが、田代さんも初めてお会いしたとは思えない雰囲気があるんですよね。のんびりしていて、面白い方です(笑)」。
公演は6月16日(土)から7月1日(日)まで東京・赤坂ACTシアター、7月6日(金)から7月8日(日)まで大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!にて上演。チケットは東京公演が2月25日(土)、大阪公演は3月31日(土)に一般発売する。
取材・文:笠松綾