(左から)安田顕、藤竜也、北野武監督、近藤正臣、中尾彬

 映画『龍三と七人の子分たち』公開初日舞台あいさつが25日、東京都内で行われ、出演者の藤竜也、近藤正臣、中尾彬、安田顕、北野武監督が登壇した。

 メガホンを取った北野監督は「老人問題が話題になる時期と配給時期がかち合っちゃったけど台本自体は大分前に作ったもの。漫談をやってたときに、今の若い暴走族なんていうのは大して怖くない。これからの老人社会、老人の暴走族がいたら本当に怖いんだと。警察の説得も一切聞かない、『お前たちには未来がある』、『ねーよ、バカヤロー』ということに(なりかねない)。そういう当時作ったネタがやっと(映画として)実現することになった」と今作誕生までの経緯をしみじみと振り返った。

 一方で、「ちょっとショックだったのは、自分はコメディアンなんですが、もし(出演者に)コメディアンを並べてこの映画を撮ったら、楽屋受けや、ダジャレで済ましたような、かなり失敗した作品になるという事に気付いたこと」と明かした北野監督。

 結果として「今回、藤さんたちの快諾を頂いてこの映画を撮ることができた」と名だたる俳優陣を起用できたことに喜んだ北野は「そして日本の役者はやっぱりうまいです。普段はこんなお笑いをやったことがない人が、これだけ人を笑わせるというのは本当に大したもの。感謝しています」と藤らの熱演を絶賛した。

その言葉の通り、現場の様子について中尾が「『よーい、スタート』も『オッケー』の掛け声もなかった」と明かした際に、北野は「いやいや、皆さんベテランの役者さんばっかりなんで私が演技をつける必要がない。端の方でテレビを見ているだけで十分でございます」と笑顔を見せていた。