地曳さんの考えはこう。

「バリエーションの呪いとは、『女子は、毎日違う格好をしなければいけない』という恐ろしく、根深く、理不尽な思い込みのことです。考えてみてください。男性なら、毎日同じスーツでも誰も何とも思わないはず。なぜか女子だけが、極力同じ格好をしないように、毎朝、鏡の前で多大な苦労を強いられているのです。ブログや雑誌は、『あなたも、バリエーションを出すためにたくさんの服を持ちなさい』と私たちにメッセージを送ってきます」『服を買うなら、捨てなさい』

しかし、毎日違う格好をしているセレブやブロガーたちは、一般人とは違うおしゃれのプロです。彼女たちはそれが仕事なので1カ月コーデが可能なわけで、読者が無理に同じことをする必要がないのです。そして何よりもこのバリエーションの呪いにはまってしまうと、一気におしゃれ度が下がってしまう危険性があるのです。

コーデのバリエーションを増やすために、イマイチな服を選んでしまい、逆にダサくなってしまった経験はありませんか?

「安いからと適当に買ったり、とんでもなく古いものを取っておいたり……。『それでも、同じものを繰り返し着るよりはいいわ』『服はないよりあるほうがマシ』なんて思っていますか? ところが、こういう『つい混ぜてしまうイマイチな服』こそ、おしゃれ度を大きく下げる犯人なのです」『服を買うなら、捨てなさい』

なるほど、ここは男性の私でも心当たりがあります。気をつけたいところですね。同書を読んでいると、バリエーションを豊富にする必要はなく、むしろおしゃれ度を上げるためには、クローゼットにある安い服や古い服を処分した方が良いのではという気になります。好きな服に囲まれているだけで気分は上がりますし、毎朝、何を着ていこうか気にする必要もありません。

ここでファッション業界に起こっているある変化を紹介しましょう。地曳さんによると、最近のファッション業界では、同じ服をくり返して着るという傾向があるようです。昔よりも随分と高くなってしまった服の価格。いくら業界の人でも高額なものばかり購入できないこともあって、「数を少なくしていいものを選ぶ」ようになってきているのです。実際に地曳さんの知り合いのスタイリストでも、週3回同じセーターを着ていることもあるそうです。

「おしゃれな人といえば、服をたくさん持っているもの。今まで、誰もがずっとそう思わされてきました。けれど、それを覆す新たなムーブメントが、ファッション業界の最先端ではすでに始まっているのです」『服を買うなら、捨てなさい』

地曳さんの本を読んでいるとなんだかホッと安心できますね。私たちは無理やり大量の服を持つ必要がないのです。好きな服を好きなだけ着ているだけで、いつの間にかファッション業界の最先端に位置することができるのです。

GWでの買い物時には、無理やり安いものを購入して、コーデのバリエーションを増やすよりも、お気に入りの一つを見つけ出し、それを大切に着続ける方が、経済的であり、なおかつおしゃれなのです。