幼稚園や学校に行きたがらない子どもの多くは、人一倍敏感で繊細な感覚を持ち合わせているHSC(Highly Sensitive Child)ではないか、と言われています。

前編では、HSCのたけるくんを、ホームスクーリングで育てているkoko kakuさんに、HSCについての具体的なお話をお聞きしました。

koko kakuさん夫妻が、息子のためにホームスクーリングという選択をするまでには、長い道のりがあったそうです。

たけるくんが、幼稚園生活を母子登園することでチャレンジして、結局、幼稚園には行かない選択をするまでのお話はkoko kakuさんのブログにつづられています。

集団に属さずに成長するのは、決して一般的とはいえない選択です。それでもその子どもがのびのびと、持っている力を出しやすい環境を与えることは、親の務めだと信じての決断だったのでしょう。

前編に引き続き、koko kakuさんにお話を伺います。

悩み、試行錯誤した末に幼稚園とお別れするまで

――【幼稚園入園をめぐる家族の物語】をブログで読みました。まず、受け入れてくれた園側の対応がすばらしいと思ったのですが、あれはあの通りだったのですか?

k「はい、本当です。もともとは、偶然、子どもの登園に1年間付き添いしたお母さんがいると聞いたことがきっかけで、お願いしてみました。

小規模の幼稚園で、隣に小学校が併設されているところだったのですが、すごく理解があって、息子の希望で、慣れるまでは、できないことはママが先生に代弁することを約束して、園生活を始めました。」

――そうなんですか。

k「ところがある日、隣接する小学校の校舎にみんなで牛乳を取りに行く時に、担任の先生に“お母さんはここで待っていてください”と言われたことがあったんです。

HSCの子どもは、普段とは違うことに敏感に反応します。普段とは若干ちがう先生の雰囲気を、たけるは察知したのでしょう。私のことをひきつった顔で凝視するもので、つい、私、先生に“それはできません!”って言い方をしてしまったんです。

”子どもが幼稚園を嫌いになります!“って。私も最初は咄嗟の場面でのコツがわからなくて。おそらく、小学校が関係することで、担任の先生も気が張るようなところがあったのかもしれません。

それをきっかけに、担任の先生だけでなく、小学校の校長先生ともお話する機会をいただけて、その校長先生というのが、心理学をご自分でも勉強されている方で、すごく尊重して下さったので、またまた助かりました。

当時はHSCを知らなかったので、先生方にはアダルト・チルドレンのことなどを例に挙げて説明したところ、本当によく理解してくださって、救われましたね」

――もっと厳しいことを言われそうな気がしてしまいますが、それは本当によかったですね。

k「 “誰もが持っている本来の気質や個性を押し殺して、親や社会からの承認を得るために、本当の自分と実際の自分とのギャップに大人になっても苦しんでいる人って多いと思うのですが、私は子どもに苦しみの種を植えつけさせたくないんです”とお伝えしました。

“時間はかかるかもしれないけれど、本人のペースや希望する慣れ方を聞き入れて待ってみたい“と」

――そうして親子でがんばって通った幼稚園ですが、やはり行かないという結論を出されるのですよね。やめるきっかけになったのは、どんなことだったのでしょうか。

 k「直接のきっかけとなったのは、運動会ですね。

沖縄の幼稚園は小学校と併設されているところが多く、運動会は小学校と合同でやるので規模が大きいのですね。それを乗り越えれば自信がついて、楽しく幼稚園に通えるようになるかと思い、チャレンジしてみたのですが、真逆の結果になりました。

たけるから笑顔が消え、幼稚園には行きたくないという結果になってしまったのです。朝、起きてもお布団から出ないでぐったりしているような日が続いて」

――そんなたけるくんをみたら、集団の環境が合わないのは一目瞭然ですよね。

k「そうですね。私もショックを受けたというよりは、これが現実だと妙に納得してしまって。やってみないとわからないことでしたが、がんばった結果がこれだったということは、ありのままを認めようという気持ちになりました」

――当時、たけるくんは5歳。その時の気持ちは言葉ではなく、表情や身体の症状に出て、親としては気づかざるを得なかったという感じでしょうか。

k「そうですね、本人はあまり嫌なことや苦手なことを言葉にするのは、得意ではなかったと思います。その都度私が、たけるの気持ちを推測で“こうなのかな?”と本人に聞いてみて、確かめていった感じです」

――たけるくんが、自分の気持ちをわかってもらえなくて、いらだつようなことはありましたか?

k「うーん、イライラしていたこともあったかもしれません、“どうせやらないといけないんでしょ”みたいな感じで。ですが、それよりもぐったりしてしまうことが多かったと思います」

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