11月24日・ガンバ大阪×V・ファーレン長崎・パナソニックスタジアム吹田で実証実験を実施 11月24日・ガンバ大阪×V・ファーレン長崎・パナソニックスタジアム吹田で実証実験を実施

2025年万博の開催地が大阪に決まった日、1970年万博の地で実証実験が行われた。11月24日・パナソニックスタジアム吹田での『明治安田生命J1リーグ』ガンバ大阪×V・ファーレン長崎にて、チケッティングの電子化によるスタジアム体験価値向上の実証実験が実施されたのだ。

G大阪のホーム最終戦で紙チケットを持つホーム側来場者に非接触型ICカードを装着するリストバンドを無償提供。入場ゲートでの認証、売店・アクティビティサービスのキャッシュレス決済、スポンサー企業のクーポンの発行、スタジアム周辺の店舗の各種サービスとの連携など新たなスタジアム体験を用意。その規模は3万人である。

この実証実験はパナソニックとぴあが大日本印刷、三井住友カードと共同で取り組むもの。パナソニック・大橋健司主幹が「今回はチケッティングの電子化がもたらすサービスの可能性を確認するもの」と説明すれば、ぴあ・大下本直人部長は「これまでのようにチケットを購入、発券、入場するだけではなく、スタジアム内での行動もデータ化し、観戦後にもアプローチが可能になる」と期待を寄せた。

リストバンド型電子チケットを装着したファン・サポーターはゲート認証端末・タフブックFZ-N1にタッチし、入場。券面確認やもぎりはなく、スムーズにスタジアムの中へ。2次ゲートでもスタッフが端末を携帯しているため、チケットを出す手間はない。また再入場ゲートでも手の甲にスタンプを捺し、ブラックライトでの確認も必要なくなった。来場者は時間短縮、運営側は業務軽減というそれぞれのメリットが生まれた。

ただ、実際にはICカードが入った面を端末にうまく当てることができずに入場に手間取っている来場者も散見された。また、当日は2000円チャージで500円チャージ、5000円チャージで1000円チャージのプレゼントを実施したものの、キャッシュレスで買い物を楽しんだファン・サポーターの数は限られた。

もちろん、課題は織り込み済みだと言う。ぴあ・東出隆幸上席執行役員が「スタジアムサービスプラットフォームの利用を促進する仕掛けも必要」と課題を挙げれば、三井住友カード・神野雅夫執行役員も「キャッシュレスゾーンを作って、より利便性を追求してみてもよかった」と先を見据えた。

パナソニック・井戸正弘執行役員は「2020年の実用化を目指している。Jリーグ全クラブへの導入、スポーツを含めたエンタメ業界にすすめたい。顧客の満足度を高め、スポーツビジネスのビジネス化を促進していきたい」とキッパリ。

この日、2万7806人がスタジアムを訪れたが、混乱は生じなかったという。実用化へ向け、来季の実証実験は次のステップへ進むことだろう。