福岡の自然食レストラン・茅乃舎(かやのや)で生まれた「茅乃舎だし」。料理において「ハードルが高い」印象の出汁を手軽に美味しくとれることで人気を集めています。東京ミッドタウンやコレド日本橋、グランフロント大阪など話題のスポットで展開される、茅乃舎だし実店舗も連日大盛況。

そんな話題の茅乃舎だしを使ったレシピを多数紹介したのが『かんたんに極上の味わい 茅乃舎だしで毎日ごちそう』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。発売2ヶ月で早くも5万部のベストセラーになっています。本書の著者でフードコーディネーター八代恵美子さんにだしの基本のほか、ダイエット中に食べても安心なだしを使った野菜レシピを紹介していただきました。

だしはなぜ大事なの?

味噌汁や煮物ではだしを取るけど、それ以外の料理では使わない……なんて人は少なくないのでは? 一方、『茅乃舎だしで毎日ごちそう』では全レシピにだしが使われています。実際、いろいろな料理にだしを使う理由は? そもそも、料理においてだしはどのような役割を果たすものなの? 八代さんに疑問をぶつけてみました。

「水にうま味と香りだけを抽出した『だし』は料理の土台になる部分で、最強の黒子といえるもの。食材が本来持つ繊細な味わいやうま味、味の深みを引き出してくれます。だからといって『だしは濃ければいい』というものではありません。逆にやや控えめなぐらいのほうが、素材の味や香りが加わることで、料理が美味しくなるんです。

だしのうま味を引き出すのに欠かせない要素は塩分。塩をひとつまみ加えると、だしのうま味がぐっと全面に出てきます。これに素材を加えることで、素材のうま味が引き出され、だしと折り重なって初めて、美味しい料理ができ上がるのです。そのカスタマイズの美味しさ、楽しさはだしならではといえるでしょう」

甘い・辛い・酸っぱい・苦いにつづく第5の味覚・うま味を味わえるのが日本古来のだし、と語る八代さん。代表的なうま味成分といえば、グルタミン酸やイノシン酸。日本の伝統的なだしの素材として用いられるかつお節や昆布に多く含まれています。

「だしには味をまろやかにする他、味わいに深みを感じさせ、料理全体にコクを出してくれる効果もあります。また、健康のことを考えても、だしをベースに加えることで、使う
調味料が少なくて済むため、薄味でもとても美味しく食べられるのです。結果として、だしを効かせた料理は体にやさしく、自然な美味しさに仕上がりますよ」

1~2分煮出せば料亭の味に!?

では、そんなだしの中でも、今大注目される茅乃舎だしの魅力とは何でしょうか?

「茅乃舎だしは、福岡の自然食レストラン・茅乃舎で使われている素材を家庭用に配合し、ティーバッグ形式にアレンジしたもの。博多の定番だしである焼きあごをはじめ、かつお節や真昆布、うるめいわし、それらのうま味を引き出すために熊本県天草灘の海塩を使用。すべての素材が細かく砕かれ、パックに詰められています」

そのため、水と一緒に鍋に入れて沸騰後1〜2分煮出すだけで、料亭のような味わいの本格だしを簡単に作れるのが、多くの人から支持される理由のようです。