サンディスクのSDメモリカード「エクストリーム プロ SDXC UHS-I」とCFカード「エクストリーム プロ コンパクトフラッシュ 」

デジタルカメラで採用されてるメモリカード。そのなかでもハイエンド向けのデジタル一眼レフカメラが採用しているCFカード市場にこの春、新たな動きがあった。

●デジタル一眼レフカメラ市場を支えるCFカード、大容量・高速化が進む

デジタルカメラ用のメモリカードは、コンパクトデジタルカメラからデジタル一眼までが採用しているSDメモリカードと、高級デジタル一眼レフカメラが採用しているコンパクトフラッシュ(CF)カードが主流となっている。

なかでも高級デジタル一眼レフカメラが採用しているCFカードは、1枚あたりの画像容量が大きいRAW画像を記録する大容量、カメラの高速連写機能を生かし、PCへの快適な転送ができる高速転送機能が特に求められる。

CFカードは、現行で販売しているメモリカードのなかでは最も歴史があり、1994年に米サンディスクが開発した。データを記録するフラッシュメモリのほかに、データの書込みをコントロールするコントローラを内蔵する。なお、SDメモリカードは小型化のためコントローラを省いている。

CFカードには、SDメモリカードの「SDHC/SDXC」のような容量の規格はない。現在、CFカードの最大容量は256GBで、マイクロンジャパンがレキサーブランドから「プロフェッショナル400倍速シリーズコンパクトフラッシュカード」の256GBモデルを2012年の前半に発売する。実勢価格は15万円前後の見込みだ。

データ転送規格は「UDMA」で、0から7までの八つに分類される。最速のUDMA7対応のCFカードは、2011年3月にサンディスクが「エクストリーム・プロ・コンパクトフラッシュカード」シリーズの128GBモデル「SDCFXP-128G-J91A」を発売した。転送速度は最大100MB/秒だ。

●CFカードの進化に限界が近づく 次世代を担うのは「XQD」となるのか

年々高速化に拍車がかかるCFカードだが、転送速度は無限に速くなっていくわけではない。ソニーのデバイスソリューション事業本部ストレージメディア事業部メモリー戦略担当の木村仁マネジャーは「インターフェースの理論値だが、CFカードはUDMA7の167MB/秒が限界だ。各社はこれに近い製品を開発・発売しようとしてきたが、そろそろ製品の仕様がこの限界値に近づいてきた。この上を目指すなら、次の規格が必要になる」と話す。

そこでソニー、サンディスク、ニコンが開発したのが、新たなメモリカードの規格「XQD」だ。2010年11月に上記の3社が発表。2011年12月7日にはコンパクトフラッシュ協会(CFA)によって採用が発表された。つまり、ソニーの独自規格というわけではなく、今後他社からもXQDが発売される可能性がある。なお、CFAが規格を発表しているが、従来のCFカードとの互換性はない。

ソニーがXQDカードの第一弾として2月15日に発売した「QD-H16/QD-H32」は、書込み速度125MB/秒を実現した高速メディアだ。XQD規格の速度理論値は250MB/秒で、将来は500MB/秒に対応する予定。さらに、技術的には理論値2TBを超える大容量化が可能だという。

XQDカードの価格はオープンで、実勢価格は16GBモデルの「QD-H16」が2万円前後、32GBモデルの「QD-H32」が3万3000円前後の見込みだ。

●一瞬でも速く……高速化が進むメモリカード市場

CFカード陣営からは、マイクロンジャパンが「レキサー」ブランドで1000倍速の「プロフェッショナル1000倍速シリーズコンパクトフラッシュカード」を2月下旬に発売する。読取り速度は150MB/秒、書込み速度は145MB/秒と、ソニーの「QD-H16/QD-H32」よりも速い。

サンディスク マーケティング部の大木和彦ディレクターは、「メモリカードには、ここまで速ければもう十分、という終着点はない。転送のタイムラグがゼロになるまで高速化が求められ、メディアメーカーも少しでもそこに近づけるよう、進化し続けるだろう」と話す。来年、どれほど速いメモリカードが誕生するか、いまから楽しみだ。(BCN・山下彰子)