おいしい料理でぽんぽこ

次に向かったのは狸小路で一番古いお店「はな家」。

店内は味わい深く、落ち着いた雰囲気、なんといいますか、品を感じました。庶民的な店内ではあるが、なんだろうこれは。

さりげなく気を遣ってくださる、素敵な内野さんご夫婦

お話してくださったのは、明るく穏やかなお人柄の4代目、内野さん。

「狸小路」で1番古い「はな家」さんに、狸小路の歴史をお伺いすることができました。

狸小路は昭和20年代の末にできたそう。「はな家はここができる以前、1947(昭和22)年から、横浜駅西口で営業していました。当時の西口は、神中線(現在の相鉄線)の資材置き場で、何にもない無人駅だったんです」

1955(昭和30)年の横浜駅西口(撮影:長谷川弘和、横浜市史資料室所蔵『横浜の空襲と戦災資料』)

「そのころの客層は船の船長さんが多かったそうで、外国からここに荷物を送るときに『日本国 横浜西口 はな家』と書くだけで届いたらしいです」

おおおおお!!!! これは、狸小路だけではなく、横浜駅西口としてもかなり貴重なお店ではないでしょうか。

また、現在狸小路がある場所には以前川が流れていて、横浜駅前の区画整理の時に埋め立てし、駅前で営業していた屋台やお店をこちらへ移したのだとか。

ぴあ『横濱名酒場100』にも載っている
1ページ目に奥様の写真が

お店は午後5時から午後11時(ラストオーダー)で、日曜祝日がお休み。1階と2階を合わせて40席あり、料理は全て店主の内野さんがお一人で作られている。

内野さんは、もともとお菓子のお勉強をされていた。19歳の時にお母様がはな家の3代目になり、内野さんもお店を手伝うことになったそう。

「本当はフランスでパティシエの勉強をするつもりだったんだけど、親に頼みごとをされたのが初めてだったから、ここに入りました」と内野さん。お店に入られてすぐ、京都の某有名和食屋で14年間修行したという。食に対するこだわり、というか、美意識があるお方です。

店内には所狭しと有名人のサインが並んでいる
2階席

かつてお座敷だった2階は落語家さんたちの練習の場でもあったそう。落語を聞きながらお酒を飲む。かっこいいなあ。内野さんも落語をやられるそう。