【映画】東京国際映画祭、審査員会見から読み解く今年の傾向

現在開催中の「第24回東京国際映画祭」のコンペティション部門で審査員を務める5名が23日に東京・六本木ヒルズで公式会見に臨んだ。世代や国籍、キャリアもまったく違う個性豊かな審査員たちは、どのような視点でジャッジするのか語った。

「第24回 東京国際映画祭」審査員記者会見の模様

現在開催されている「第24回東京国際映画祭」のコンペティション部門で審査員を務めるエドワード・R・プレスマン(審査委員長/映画プロデューサー)、キース・カサンダー(プロデューサー)、女優のファン・ビンビン、小林政広監督、レイコ・クルック(特殊メイクアップアーティスト)の5名が23日に東京・六本木ヒルズで公式会見に臨んだ。世代や国籍、キャリアもまったく違う個性豊かな審査員たちは、どのような視点で出品中の15作品をジャッジするのか。30日に発表される最高賞「東京サクラグランプリ」の行方を占う上でも、注目すべき会見となった。

「全体的に技術面、例えばキャスティングや照明、音楽といった要素がうまく調和しているかで判断したい。個人的には時代考証がしっかりしていないとダメ」と断言するのはカサンダー氏。「だから妻には嫌われるんだけど」と笑いを誘ったが、プロデューサーらしい視点であることは間違いない。一方、女優のビンビンは「表現的なテクニックよりも、ストーリーに感じ入るものがあるかが重要だと思う」と表現者としての審査基準を示した。昨年『ブッダ・マウンテン』で第23回東京国際映画祭の最優秀女優賞を受賞。今回は、コンペ部門に2本の中国製作作品がエントリーしているが、「国際的な映画祭ですし、何より大切なのは公正性。もちろん中国の作品が受賞したら、嬉しく思いますが」と語った。

小林監督は故・黒澤明監督が残した「一度見たら死ぬまで忘れられない映画を作るべき」という言葉を引き合いに、「それこそが我々が見たいものであり、作りたいと願うもの。テクニックがあれば、それなりの映画が仕上がるかもしれないが、それだけでは……」。クルック氏は「映画とは人生を描くもの。ただエモーショナルに訴えかけるには、テクニックも必要になる」と裏方として映画を支え続けた“匠”の視点を示した。

「テクニックか、エモーションか」。今年のコンペティション部門では、この命題が熱く議論されることになりそうだ。最後に審査委員長のプレスマン氏は「映画とは、常に新鮮でオリジナリティあふれるものが、人々の心をつかんできた。時代が変化する中で、映画に対する感受性も変わってきているはず。この時代だからこそのオリジナリティが生まれれば」とコメント。審査員5名の発言から、受賞結果を予想すれば、東京国際映画祭をより一層楽しめるはずだ。

 

【第24回東京国際映画祭コンペティション部門出品作】

『アルバート・ノッブス』(ロドリゴ・ガルシア監督/アイルランド)
『より良き人生』(セドリック・カーン監督/フランス)
『羅針盤は死者の手に』(アルトゥーロ・ポンス監督/メキシコ)
『デタッチメント』(トニー・ケイ監督/アメリカ)
『ヘッドショット』(ペンエーグ・ラッタナルアーン監督/タイ)
『ホーム』(ムザッフェル・オズデミル監督/トルコ)
『ジェイス/J.A.C.E.』(メネラオス・カラマギョーリス監督/ギリシャ他)
『転山』(ドゥ・ジャーイー監督/中国)
『プレイ』(リューベン・オストルンド監督/スウェーデン他)
『夢遊 スリープウォーカー』(オキサイド・パン監督/香港、中国)
『別世界からの民族たち』(フランチェスコ・パティエルノ監督/イタリア)
『トリシュナ』(マイケル・ウィンターボトム監督/イギリス)
『最強のふたり』(エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ監督/フランス)
『ガザを飛ぶブタ』(シルヴァン・エスティバル監督/フランス、ベルギー)
『キツツキと雨』(沖田修一監督/日本)
 
「第24回東京国際映画祭」
10月30日(日)まで開催中
 
 
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