温かさと悲しさ、シリアスと笑いが共存し、家族を核として描かれた本作は、随所にほろりと来る、とても韓国らしい映画だ。ドクスが店を売らない理由は、(序盤で気付くかもしれないが)最後に明らかとなる。「国際市場で逢いましょう」。このタイトルの意味が、映画を観終わった後に胸にずしっときた。そして、彼が下す決断にほろ苦さを感じてまた涙が流れた。

そして、物語はもちろん、出演者にも注目したい。豪華……というか、安心・安定の布陣というべきか。ファン・ジョンミン(『新しき世界』)、キム・ユンジン(『ハーモニー 心をつなぐ歌』)、オ・ダルス(『7番房の奇跡』)、チョン・ジニョン(『王の男』)、チャン・ヨンナム(『チング2 永遠の絆』)、ラ・ミラン(『ソウォン/願い』)、キム・スルギ(『怪しい彼女』)など、いずれも映画界を代表する俳優が顔をそろえる。

ファン・ジョンミンは、誰よりも勤勉で温かい心をもった(口が悪い頑固者だけどね)ドクスになりきり、20から70代までの男の一生を見せている。別段イケメンというわけでもない(失礼!)けれど、とても引き付けられること間違いなし。また、個人的に“はずせない”のはドクスの親友ダルグを演じたオ・ダルス。独特な演技と特有のコミカルさでこちらも観客を引き付ける。お調子者で三枚目のキャラ、ダルグは、オ・ダルスを念頭に置いて描かれたキャラクターだそうで、彼が演じる子ども時代から老人時代まで、ぜひ大いに笑って欲しい。

さらに、忘れてはならないスターが登場する。アジアを代表するアーティスト、東方神起のユンホだ。彼は、本作にて、本格的にスクリーンデビューを果たした。ベトナム戦争に参加した実在する国民的歌手ナム・ジン役を熱演している。迷彩服に身を包み、訛りや鼻歌を披露するコミカルな一方で、激しい銃撃戦も繰り広げる。登場シーンは多くないものの、しっかり見せ場(目線と腕フェチ必見!!)があるのでので、お見逃しなく。

笑って泣ける映画『国際市場で逢いましょう』は、5月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほかで全国順次公開。

“大丈夫だ”と笑って見てせ、“良かった”と涙ぐむ。
家族のために懸命に生きてきた、父の背中がそこにはあった――
『国際市場で逢いましょう』 2014年/韓国/127分
ストーリー:幼い頃、朝鮮戦争時の興南撤収作戦による混乱の中、父、そして末の妹と離れ離れになり、母と残された2人の兄妹と共に避難民として釜山で育ったドクス。成長したドクスは父親の代わりに家計を支えるため、西ドイツの炭鉱へ出稼ぎや、ベトナム戦争で民間技術者として働くなど、幾度となく生死の瀬戸際に立たされる。しかし、彼は家族のためにいつも笑顔で必死に激動の時代を生きていく――。
監督:ユン・ジェギュン『TSUNAMI-ツナミ-』
出演:ファン・ジョンミン、キム・ユンジン、オ・ダルス、チョン・ジニョン、チャン・ヨンナム、ラ・ミラン、キム・スルギ、ユンホ(東方神起)
配給:CJ Entertainment Japan
公式サイト:kokusaiichiba.jp
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