哀川翔

俳優・哀川翔の芸能生活30周年記念作にして、通算111本目の主演作となる『Zアイランド』が完成し、哀川が取材に応じた。「いい30年だよね。不器用に生きてきたけど、我を通してきて良かったと思う。仕事選びの基準? いやじゃなければやる! それだけだよ(笑)。つらい思いもしたはずだけど、不思議と忘れちゃって、作品だけが残る。周りにも恵まれていたし、感謝していますよ」と第一線で輝き続ける俳優人生への思いを語る。

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「やりたいことがあるわけじゃないんだよね」と飄々と語るが、その裏にプロとして「やると決めたら、とことんやるってことだから」というブレない哲学がある。「一番多忙だったのは1997年かな。主演で10本、助演で22本に出演して、1年のうち320日くらい現場にいたから、常に『ここどこ?』って感じ(笑)。でも自分を追い込んで、限界を知らないと、次のレベルに上がれない。余裕があると“自分流の芝居”が出ちゃってダメ」(哀川)

『Zアイランド』は謎の疫病が蔓延した孤島を舞台に、哀川演じる元ヤクザの親分がゾンビ相手に大暴れする娯楽アクション。監督・脚本を手がける品川ヒロシと3度目のタッグを組み、初の主演を務めた。「本当によく映画を研究しているし、キャストへの思いも強い。脚本以上の映像をちゃんと撮るんだから、すごい才能だと思う。大したもんだよ。間(ま)へのこだわりがすごくて、なかなかOKが出なかったけど(笑)」と品川監督に全幅の信頼を寄せる。

「結局、やったもん勝ち。やり続けた人間が勝つんだし、要は経験こそが力。最近は『自分に合わない』『やりたいことと違う』ってすぐ仕事を辞めちゃう若い人も多いみたいだけど、『やりたいこと』が逃げの口実になっていないかな…。仕事を任された以上は、使命感を持たなくちゃ」と現代の若者にゲキを飛ばす哀川。自身にとっても30周年は、あくまで通過点。「やると決めたら、とことんやる」の精神で、これからも“哀川SHOW”は続く。

『Zアイランド』
5月16日(土)から全国ロードショー

取材・文・写真:内田涼