<インタビュー・時の人>モトローラ・モビリティ・ジャパン 代表取締役社長 鈴木 寛

2012.2.29 10:21配信

2006年、海外での人気を背景に国内携帯電話市場に参入した米モトローラの「RAZR」だったが、早い段階で撤退の憂き目をみることになった。その失敗を教訓に、モトローラ・モビリティ・ジャパンは、3月上旬、再び「先駆者」になることを目指して新生「RAZR」を発売する。モバイルデバイスにこだわりをもつ特定層の支持を得ることでブランド認知を向上させ、STB(セットトップボックス)を中心とした映像関連機器の連携も視野に入れる。「今年が重要」と位置づける鈴木寛社長に、日本での戦略を聞いた。(取材・文/佐相彰彦)

◎プロフィール

(すずき ひろし)1960年2月18日生まれ。名古屋大学工学部原子核工学科卒業。名古屋大学工学研究科博士課程前期修了後、日本IBMやノーザンテレコムジャパン(ノーテルネットワークス)、日本エリクソンなどを経て、03年4月、モトローラに入社。ブロードバンド関連ビジネスやホーム関連ビジネスの指揮を執る。10年7月、モトローラ・モビリティ・ジャパンに移籍し、代表取締役社長兼ホームビジネス事業部長に就任する。11年7月、代表取締役社長兼モバイルデバイス事業部長に就任し、現在に至る。

●「尖った層」の評価がブランド力をつける

モバイルと映像関連機器の連携も

Q. 日本での現在のビジネスは?

A. スマートフォンやタブレット端末のモバイルデバイス事業、通信事業者やCATV事業者を通じて、家庭にSTBやモデムを提供するホーム事業を手がけている。どちらも、今年が重要な年と位置づけて臨んでいる。

Q. モバイルデバイス事業で取り組むことは何か。

A. この事業は再スタートという意味からも、社運をかけている。まずはブランド力の向上に力を注ぐ。スマートフォンでは、WiMAX対応でデュアルコアCPUを搭載した「Photon」と、スリムでスタイリッシュな「RAZR」を揃えた。この2製品によって、技術志向のユーザー、人とは違う感性をもつユーザーなど「尖がった層」に対してブランドを浸透させる。タブレット端末「XOOM」はAndroidの最新OSに対応し、使いやすさを追求している。

Q. 国内スマートフォン市場は競争が激しくなっている。勝算はあるのか。

A. 本当は多くの人に使ってもらいたい。しかし、製品のコンセプトを明確にすることが他社製品との差異化になり、ブランド力の向上につながると判断しているので、今は「尖がった層」に当社の製品を使っていただき、高い評価を得ることが重要だ。彼らは数としては決して多いとはいえないが、自分がいいと思うものにはお金をかける。われわれは低価格戦略をとることなく、適正価格できっちりとブランドを浸透させることができるはずだ。さらに、彼らは他のユーザーを引っ張ってくれる層だ。今年を「地固めの年」と位置づけて「尖がった層」に製品・ブランドを浸透させ、成功すれば幅広い層に向けた製品の投入など、新しい戦略を立てる。

Q. つまりアーリーアダプタに、「他社とは一線を画した製品」と認識してもらうことが重要だ、と。

A. その通りだ。製品の特徴を訴えるために、家電量販店とのパートナーシップを深める活動も進めている。例えば、HDステーションに差し込むとパソコンと同じように使える「Photon」では、いくつかの家電量販店でPCに見立ててデモンストレーションを行っている。また「RAZR」は、家電量販店でデザイン性を訴える紙什器やPOPの展開を計画している。

Q. ホーム事業についてはどうか。

A. 転機を迎えているという認識だ。今、モバイルデバイス事業とのシナジーを模索している。取り組みの一つとして、CATV事業者向けに、契約者が屋外での無線LANサービスが利用できる「ケーブルWi-Fi」を提供している。また、コンテンツとモバイルデバイスを組み合わせた展開も視野に入れている。モバイルとエンタテインメントの先駆者になることを目指す。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年2月27日付 vol.1421より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

いま人気の動画

     

人気記事ランキング