女性レーサーのシャンク役の日本版声優を務めた菜々緒

 人気レースゲーム“シュガー・ラッシュ”の天才レーサーでプリンセスのヴァネロペと親友で悪役キャラクターのラルフが、インターネットの世界で大冒険を繰り広げるディズニー・アニメーション最新作『シュガー・ラッシュ:オンライン』が12月21日から公開される。本作で、ヴァネロペがインターネットの世界で出会う女性レーサーのシャンク役の日本版声優を務めた菜々緒に、役柄や声優という仕事、映画の見どころなどを聞いた。

-ディズニー作品での声優は初挑戦とのことですが。

 子どもの頃からディズニーの映像作品を見て育ったので、お話を頂いたときはとてもうれしかったです。自分が悪役を演じるときに、「ディズニー・ヴィランズ」を参考にしたこともあるので、ディズニーには本当にお世話になりっ放しです。ですから、こうしてディズニーの作品に携わることができて光栄に思っています。

-演じたシャンクという役についてはどう思いますか。

 シャンクはゲームの中では悪役だけど、普通のときはみんなから慕われる姉御肌の女性なので、そういう意味では、自分とも通じるところがあるのかなあと思いました。そうした女性同士の共通点があったので、とてもやりがいがありました。私は悪役を演じることが多いのですが、まさかディズニーでも悪役をやることになるとは(笑)…と驚きました。悪役については、この映画のラルフと同じように、私も最初の頃は「ちょっと嫌だなあ」とか、「ヒーローになりたいなあ」と思ったこともあったし、「本当にこのままでいいのかなあ」と迷ったこともありました。でも、演じ続けることによって、ラルフと同じように「ここが自分の居場所なんだ」「悪役は自分にとってはいい存在なんだ」と思えるようになりました。

-では、声優という仕事についてはどう感じましたか。

 声優のお仕事に関してはすごく難しいなあと思います。私たちは普段、マイクの前に立つ環境がないので、いざ前に立つと「どうしよう」となります。毎回緊張してしまうし、いろいろ失敗もしましたが、私の中ではとても新鮮で、アートなチャレンジだったのでやりがいはありました。悪役を演じるときは、あまり声を張ったりはしないし、低いトーンで淡々と話すことが多いんです。今まではそういう役が多かったので、今回のように声を張ったり、リズムのある話し方をするのはとても勉強になりました。初めてボイストレーニングにも行きました。

-オリジナルのシャンクの声は『ワンダーウーマン』のガル・ガドットでした。その日本版声優を演じたことについてはどう思いましたか。

 すごいプレッシャーがありました。プロの声優さんでも私と同じことを言うと思いますが、私は、まだ数回しか声優を経験していないので、なおさらでした。毎回「私は日本のワンダーウーマンだ」と自分に言い聞かせて(笑)、収録に臨んでいました。 

-ガドットは強い役を演じることが多いですが、ご自身との共通点は?

 強い女性を演じる、という意味では、容姿や声の質が大事になると思います。その点では、私も彼女もアニメ声ではないなど、似ている部分も多少はあると思います。ただ、外国の人は骨格や声帯が日本人とは全く違うし、年齢も私の方が若いのでちょっと未熟な感じがします。それに外国の人の声は厚みがあって、特に英語は抑揚が強いので、聞いていると体とマッチしているように感じます。それに比べて、吹き替えは、英語を話しているリップに日本語を合わせる難しさがあります。それをマッチさせるのが大変でした。

-映画の見どころを。

 インターネットの世界って、身近でありながら分からない部分も多いですよね。この映画の中にはいろんなものが出てきて、その中で自分が知っているものを見つけるという、宝探しのような面白さがあります。その点では、何回見ても楽しめると思います。それからプリンセスの豪華共演も、女の子にとってはとてもうれしい驚きです。これはディズニーランドよりすごいかもしれません(笑)。プリンセスの中で容姿的に一番私に近いのはポカホンタスかな。でも現実離れした『リトル・マーメイド』のアリエルになってみたいです。

-最後に観客に向けて一言お願いします。

  インターネットの世界を可視化しているので、見ているといろいろな発見があります。まずそれがとても楽しいと思いますし、前作(『シュガー・ラッシュ』)で親友になったヴァネロペとラルフの友情が変化していくところも見どころだと思います。友情についていろいろと考えさせられるところもあります。ご家族そろって見ていただけるといいなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)