巨匠M・スコセッシ監督が新作『ヒューゴの不思議な発明』にこめた想い

2012.2.29 14:42配信
映画『ヒューゴの不思議な発明』を手がけたマーティン・スコセッシ監督

本年度の米アカデミー賞で最多5部門を受賞したマーティン・スコセッシ監督の最新作『ヒューゴの不思議な発明』が3月1日(木)から日本公開される前に、スコセッシ監督がインタビューに応じ、本作や映画にかける想いを語った。

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『ヒューゴの不思議な発明』は、1930年代のパリを舞台に、父を失い、時計台に隠れ住んでいる少年ヒューゴが、父が遺した機械人形に隠された秘密と、自らの人生を大きく変えてしまう“秘密のメッセージ”をめぐって壮大な冒険を繰り広げる様を描いた作品。

自身で作品を発表するだけでなく、観客として映画を愛し、古いフィルムの保存や復元にまで取り組んでいるスコセッシ監督にとって、映画黎明期のフランスを舞台に、実在の映画作家ジョルジュ・メリエスが物語に深く関わる本作を手がけたことは、“1本の企画の実現”以上の重みがあったのではないだろうか。スコセッシ監督は「パリでこの映画の上映会をしたときに、パーティがあったのですが、若い著名な映画監督が近づいてきて『あなたのことが大嫌いだ! 私がこの映画を撮りたかった!』と言われて、ふたりで大笑いしましたよ」と満面の笑みで振り返る。その顔は“巨匠監督”というよりは、映画に夢中な学生のようで、かつて使用されていたニトロセルロースベースのフィルムの発色の美しさから、デジタル技術の進化による映画保存の困難や撮影環境の変化まで、インタビュー中の話題は多岐に渡る。

スコセッシ監督が本作で“映画”にこめた想い。それを読み解くカギは劇中に登場する“機械人形”にあるようだ。機械人形は、亡くなった父から主人公ヒューゴに受け継がれた唯一のもので、この機械人形が動き出すとき、ヒューゴは孤独だった日々を抜け出し、人生の新たな局面へと足を踏み入れる。「ヒューゴは少女やメリエスと関わりますが、ヒューゴと最も強いつながりがあるのは“機械人形”です。この人形は登場人物のひとりと言ってよいですし、実際にはこの人形が、物語を動かしているのです」。

機械人形が父からヒューゴに受け継がれたように、映画はフィルムやデジタル媒体に記録され、過去から現在、そして未来へと受け継がれる。そして、それを観た観客も心の中に映画を閉じ込めて未来へと運ぶはずだ。「他の監督の映画を観るとインスピレーションを受けることもありますが、まずは純粋に映画を楽しんでいるんです。そして時々、自分に語りかけてくる『これだ!』という映画に出会います。その時に感じた想いというものは、一生かけて背負っていくものだと思います」と語るスコセッシ監督。彼が「すべての映画が毎回“チャレンジ”ではありますが、この作品は初めての3D撮影でもあり、私にとって“特別なチャレンジ”となりました」と語る『ヒューゴの不思議な発明』も、過去のスコセッシ作品同様に多くの映画ファンの心の中で生き続け、未来へと運ばれる1作になるのではないだろうか。

『ヒューゴの不思議な発明』
3月1日(木)TOHOシネマズ 有楽座ほか全国ロードショー
※3D/2D同時公開

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