記者発表会は、上海科学技術館前広場の特設テントで開かれた

【上海発】全米家電協会(CEA)がアジアで初めて開催するコンシューマー・エレクトロニクス・ショー・アジア(CES ASIA)が中国・上海で5月25日に開幕するのに先立ち、前日の24日、メルセデスベンツは記者向けの発表会を開いた。上海科学技術館前の広場に作られた特設テントに各国の記者を集め、1月にラスベガスで開催されたCES 2015で初登場し上海モーターショーでも話題を呼んだコンセプトカー「F 015」の実車を公開。車とIT技術が融合して生まれる新しい世界観を示した。

発表会で北京メルセデスベンツセールスサービスのNicholas Speeks社長兼CEOは、2015年の「未来」を舞台にした映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」に登場した車「デロリアン」を引き合いに出し、「タイムマシン機能こそないが、今日、ほとんどの機能は現実のものになってきた」と、進む車の自動化について紹介した。

特に同社のC/E/Sの各クラスの車には、「最高レベルの安全と快適さを実現する自動機能が搭載されている」と、先進性をアピールした。さらに、自動ブレーキ機能や走行レーンを自動的に維持する機能など、多くの自動機能を備えた「Sクラスの車は、もっとも進んだIT製品だ」とも語った。

ダイムラーAG中国のHubertus Troska取締役はコンセプトカー「F 015」をCES ASIAで披露する意義について、「ネットの普及とその接続性の向上で、世界は急速に変わりつつある。特に5億人のスマートフォンユーザーがいる中国ではその傾向は顕著だ。近い将来中国がコンシューマ・エレクトロニクスの潮流を左右する国になる」と話す。また、「家庭と職場に加えて、車がネットとの接続で重要な場所だ」として、そこに自動車メーカーのチャンスがあると語った。

されには、「自動運転技術もまた大きなチャンス」(Hubertus Troska取締役)として、「公道で郊外の道から交通量の多い都会の道まで自動運転で走る車を作ったのはダイムラーが初めてだ」(同)と、同社の自動運転技術の高さを示した。「14年には世界初の自動運転トラックを開発し、現在では公道で走るまでになった」(同)とも話す。「自動運転は遠い未来の話だと思っている人が多いかもしれないが、思ったよりもずっと早くその世界は実現するだろう」と、Hubertus Troska取締役は近い将来を見通した。そのほか、14年に「バイドゥ・ストリートビュー」を採用したのに続き、車載エンターテインメントシステムとして「バイドゥ。カーライフ」を採用することも公表した。

「CES ASIA」は、中国・上海浦東新区の「上海新国際博覧センター」で5月25日~27日までの3日間開催される。(道越一郎)