佐々木蔵之介と永作博美

四十九日の前日、目の前に死んだはずのヨメが現れた!? 実在の闘病ブログから生まれた書籍『がんフーフー日記』(小学館刊)を基に、新たに大胆な設定を加えて映画化した『夫婦フーフー日記』。17年の友だち期間を経て結婚し、子どもに恵まれるも、ほどなくヨメを亡くしたダンナに扮した佐々木蔵之介と、ダンナの前に現れる、闘病の末に死んだはずのヨメに扮した永作博美が共演作を語った。

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闘病ブログの書籍化の話が持ち上がったダンナの前に、ダンナにだけ見えるヨメの幽霊(?)が姿を現し、ともに過ごした日々を振り返りながら、現実を受け止めていく。四十九日に本人が現れると聞くと、突拍子もない設定にも思えるが、佐々木も永作も「違和感はなかった」という。死んだヨメを演じた永作は、「不思議なことが起こっているけれど、出てくるのはフラットでナチュラルな人たちばかり。特別な感じはない。そこも魅力のひとつだと思いました。そうした世界観があったうえで、あ、ヨメが幽霊になって出てくるのか。私、幽霊役なんだと(笑)」と脚本の感想を語り、生きている間も、死に際して残した言葉も、死んでからも、ステキな女性でとても惹かれたとヨメ役を受けた理由を明かす。

そのヨメの“存在感”を佐々木は次のように感じた。「幽霊なのにイキイキしてる。撮影のときにも、しっかりと質量のある永作さんのヨメが、(大好きだった)ハンバーガーを頬張っているわけです。こんな力強い、パワフルな幽霊はいないだろうっていう(笑)。やっぱりダンナがヨメを求めていたんだろうと思うんです。そしてヨメのほうも何とかしてやらなあかんという思いがあったから、ぼや~っとした感じではなく、しっかりと存在する幽霊としているんだろうなと。そのしっかりした幽霊だということ自体が、この映画を成立させているのだろうと思いました」。ダンナについては「弱そうに見えるけれど、実は強いんじゃないかなコイツと思いながら、(役を)生きていましたね」と語る

そして「自分の出ている映画ってなかなか客観的に観られないんですけど、今回は、劇中で自分たちの過去を見ているのと同じ感じで、割と客観的に完成した作品を観られました」(佐々木)、「あっという間に観てしまいましたね。怒涛のように流れていく時間をはっきりと感じながら、毎日を大切にしようという気持ちになりました。それくらい私も客観的に観られたんですよね」(永作)と振り返り、「いい映画だなって思いました(笑)」と声を揃えた。

『夫婦フーフー日記』
5月30日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

取材・文・写真:望月ふみ

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