Q:日本人よりも欧米人のほうが産後の回復が早いのは、遺伝的な違いがあるため?
A:欧米人のほうが骨盤が広いとは言われていますが、必ずしもそれが安産に直結しているとはいえません。産後の回復に遺伝的な差があるというデータもないようです。
Q:日本はなぜ産後の入院期間が長いの?
A:日本の場合、自然分娩や無痛分娩では産後4~5日程度入院するのが一般的。スピード退院が主流の国では、退院後は助産師が自宅を訪れて経過を確認するようなシステムが確立されていることがほとんどです。
日本でもそういった助産師訪問システムや産後ケアの体制が整備されれば、スピード退院は可能かもしれません。ただし、産後早くに退院して万が一、何かが起こった場合、責任の所在がどこにあるかを整理する必要はあると思います。
Q:ネットでは「日本の入院期間は長すぎるのでは?」との議論もありました。数日間、入院することのメリットは何でしょうか?
A:母親たちはゆっくり休むことにより、身体の回復に専念することができます。産後に心配な出血のケアも受けられます。このほか病院から授乳や沐浴の指導を受けることができるのもメリットのひとつ。退院後は安心して赤ちゃんのお世話が進められるでしょう。
「無痛分娩」の割合はイギリスでも約2割
欧米人だから日本人よりもお産が楽とは言い切れないようである。
さらに欧米では無痛分娩の割合が高いといわれているが、フランス・アメリカが6割に達するもののイギリス・ドイツは2割程度、イタリアはわずか3%であった(日本産科麻酔学会)。
スピード退院した欧米の母親たちも産後の苦労は同じなのかもしれない。
となると、やはりキャサリン妃の回復力は特別! 王妃はいろいろな意味でスーパーレディなのだと改めて思い知らされました。
※……マンガのブラックジャックは、局所麻酔を打って自分で自分の体を手術することができる。
取材協力:産婦人科 水口病院(東京都吉祥寺)