――Kraの既存の楽曲を演奏していても、ダンサーやホーンが入ってることで変わることもあると思うんです。

結良:勉強になることもたくさんあって、ホーンの方たちも「こういうアレンジどうですか?」みたいな相談をしてくださったり。こういうのもアリなんだって楽しくやっています。14年目にして新たな勉強ができてるというか。

――14年目にこういう企画を始めるというバンドも相当珍しいのでは?

靖乃:14年目に向けてダンスレッスンから始めたっていうのもなかなか無いですよね(笑)。

結良:いいきっかけだったよね。そのまんま普通にロックバンドだけやってたら見つけられなかったことや可能性もあるだろうし。このまま15年目を迎えたら、きっと頑固になって、それしかできなくなっちゃってたと思うんです。ここでよくわからないスタイルを作ることで、柔らかくなれたというか、勉強する機会もできて、楽しくやれてるよね。

景夕:最初の構想はもう少し小さくまとまってたんですよね。それが回数を重ねるごとに演出家の方やスタッフだったりと、みんなとアイデアを出して「こういうのやってもいいかも」っていう幅が広がったような気がしますね。実際タイゾがAiiA THEATERの時にワイヤーに吊るされて飛んでさ、調子に乗って定期公演の初日にもまた飛んだんですよ。もう飛ぶことにも「飽きた」感が出てるからね(笑)。

タイゾ:俺自身はただ必死なだけなんですけど…。やり続けることは大事かなと。例えばお笑い芸人さんのネタも本人は飽きてるかもしれないけど、お客さんはそこを求めてるみたいなとこもあると思うので。

靖乃:テキーラ東京をやることで、Kraのライブでセットリストを組み立てる時にフィードバックされてるというか、「面白いこと」について考えられるようになったというか、ダイレクトに還元されてきつつあるので、良い作用になっているとは思います。

――6月17日には東京テキーラのシングル『Kung-Fu Lady』がリリースされます。こちらは米米CLUBのカバーですよね。

景夕:米米CLUBさんってやっぱりライブが面白いじゃないですか。ウチらもそれを見習いたいというか。カンフーの動きの振り付けとか、みんなで楽しめることを提示したかったんです。

――女性ダンサーやホーンセクションのある編成、ライブでは寸劇もあって…という演出はたしかに米米CLUBに近いものを感じました。

靖乃:今は10人編成でやっているんですけど、これから違うアプローチもできるのかもしれない。新しい楽器が増えるのか、もしかしたら西田イン・ザ・スカイがドラムを叩かせてもらえなくなるかもしれない(笑)。いろんな可能性やポテンシャルは持っているのかなあと。

――今後も定期公演ではストーリーは続いていくんですか?

景夕:徐々に進んでいくんですけど、毎回「前回までのあらすじ」みたいなのもあったりするので、終わりのときにも「次回予告」みたいなのがあったり。なので、途中から見に来てもどういう感じかはわかると思います。

――お客さんの層はKraとくらべて変わった印象はありますか?

靖乃:まだテキーラ東京単体で見に来るひとはいないんじゃないですかね。もしかしたら物珍しい川崎の住民(定期公演はクラブチッタ川崎で開催)がひとりくらいはいるかもしれないけど(笑)。

景夕:だけど、狙いとしてはいろんな世代のお客さんに見に来てもらいたいですよね。

――子供からお年寄りまで。

景夕:エンターテイメントとして楽しんでもらえるようなものを目指していますので。

靖乃:そういう意味では今度ショッピングモールでのイベントを控えているので、その時の反応が楽しみですね。この格好をした10人がワッと出てきたら子どもは逃げまどうんじゃないかとか(笑)。

景夕:西田イン・ザ・スカイは怖いでしょう。

靖乃:あんな格好した2メーター強の奴がウロウロしてたらトラウマになるんじゃないかな(笑)。