松本幸四郎とうなりくん 松本幸四郎とうなりくん

新橋演舞場の『三月大歌舞伎』夜の部で上演される『佐倉義民伝』で、松本幸四郎が主人公の木内宗吾を4年ぶりに演じる。3月2日(金)の初日に先立ち、3月1日、公演期間中に劇場ロビーで行われる宗吾霊堂の出開帳(でかいちょう)法要と幸四郎の囲み取材が行われた。

『三月大歌舞伎』チケット情報

木内宗吾は、暴政に苦しむ庶民のために、自らの命を懸けて四代将軍徳川家綱に直訴し、今なお語り継がれる実在の人物。また、今年は木内宗吾が宗吾霊として祀られてから360年という節目の年にあたる。本作では、幸四郎に加え、息子の市川染五郎が徳川家綱、孫の松本金太郎が宗吾長男彦七を演じる。高麗屋3代の出演も話題だ。

会見で幸四郎は「木内宗吾は、村民たちのために命をかけて働いた素晴らしい方。心から皆のために尽くした方ですので、心して演じないと嘘になってしまう」と尊敬の念を込めて語り、「こういう役がやれるような役者になるために、今まで俳優の道を歩んできたような気がします。『英雄のいない世の中は悲惨だけれども、英雄を欲する世の中はもっと悲惨だ』とよく言われます。宗吾様は人々のために自分の命を捨てた。英雄というと偉そうに聞こえるかもしれませんが、きっとチャーミングで素敵な方だったいたのでしょう。人間として心が和む素敵なことだと思います」と語った。

また、今年で70歳を迎える幸四郎。息子の染五郎、孫の金太郎と3代で同じ舞台に立つ事について「奇跡に近い」と話し、「これはお金では買えることではないし、やろうと思ってできることでもありません。自分がこれまでやってきたことが良かったかな、と思う瞬間です。我々の仕事はそう甘くはなくて、なかなかうまくはいきません。でも間違い、つまずき、失敗があり、つらくても苦しくても悲しくても、それが人生だと思っています」としみじみと語っていた。

公演は同劇場にて3月26日(月)まで開催。チケットは発売中。