小売業と出版界の違い

「ダイソーは、小売業なので、出版界とはかなり感覚が違ってくると思います。」西田専務は、そのようにおっしゃいました。

西田:「例えば、仕入れた商品は売り切って当然で、何回も増刷するのは当たり前の世界です。初刷3万部だけで終わることはまずないです。3万部では元が取れない。10万部はいかないと! シールブックで30万部、高島易断の暦本で50万部は売っています。入社してすぐの編集部のメンバーも、ミリオンセラーを1年で達成しました。それだけ売っても、まだまだ……(笑)。本屋さんの中のランキングではなく、ダイソー全商品の中のランキングで戦わなければいけないのです。」

―――書店で販売するわけではないので、色々な部分が出版界と異なるのですね。

西田:「企画の立案から、売り方まで。「自分が作ったものが、お店でどう売られているのか?」そこまでちゃんと考えなければならないのが編集部の基本スタンスです。100円だからこそ、すごくシビアな世界ですが、「100円だからこんな(質の低い)本なのね~」と思われるのはすごく嫌で……。みんな「良い物を作る」という熱い思いは一緒です。

うちは基本、シリーズで制作しているのですが、一人一人それはもう、様々なジャンルを担当していて、20タイトル同時進行+別のシリーズを担当……なんてこともあります。これだけたくさんの量をこなすとなると、それだけ全部に目を通さなければならず、企画、デザイン、売り方、校正など同時進行でこなしているのが現状です。部員は6名おりますが、みんなでフォローしあって、みんなで頑張っています!」


「活字は日本の文化」。この言葉を大切に、日々本を制作している大創出版の方々は、皆さんそれぞれ「もっと良くしていこう!」「もっとお客様に喜んでいただくものを作ろう!」と、試行錯誤しながら熱い思いで本を作っておられる様子が、取材を通して伝わってきました。実際、100円で本を販売するのはかなり大変だそうです。

ですが、「100円の本を作ろう! という感覚はなくて……。普通に書籍を作って、前の会社ではそれが600円~700円だったけれど、それが結果的にうちの会社にきたら100円だっただけなんです」と、にこにこしながらおっしゃった編集者の方の言葉がとても印象的でした。

ちなみに、ダイソーで扱う全ての商品に言えることですが、ダイソーの本は「一期一会」なのだそうです。大創出版では直接販売をしておらず、また、次々に新シリーズも刊行されるため、入れかわりも早いのです。また、店舗によって取り扱っている本も少しずつ異なります。もし気になる本を店頭で見つけたらすぐにゲットすることをおススメします! 

皆さんも良かったらぜひ、ダイソーへ行って、本をチェックしてみて下さいね。

 京都府在住の26歳。三度の飯より本が好きで、またそのレビューを書くことを何よりも愛している。毒のある本やミステリーが好き。主に「読書」の分野で記事を書いています。いつでもアワアワしているフリーランスのライターです。 Blog