人気アイドル・グループ「嵐」の5人の中で、いちばんどこにでもいそうな好青年という印象ながら、その“普通さ”を自身のキャラクターとしてしっかり確立させている相葉雅紀。

現在放送中のフジテレビ“月9”「ようこそ、わが家へ」でもストーカーの襲撃から一家を守る長男を等身大で演じている彼は、極めて“普通”なのに、なぜあんなに魅力的で存在感があるのだろう? 役者としてはどんな能力を秘めているのだろう?

そんな誰もが見過ごしてしまいそうな相葉雅紀の魅力、役者としてのスゴさを、DVDとブルーレイがリリースされたばかりの彼の主演映画『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』でメガホンをとった犬童一心監督(『ジョゼと虎と魚たち』『のぼうの城』)に教えてもらいました。

正直な人を相葉くんが演じたとき、そのまま信じてもらえるような気がした

犬童監督が相葉雅紀と仕事をしたのは、07年の嵐の主演映画『黄色い涙』以来のこと。

犬童一心監督

「そのときの役柄が相葉くんとすごく合っていたし、それを見て、この人なら他の俳優さんと競合しない役を演じられるんじゃないかなと漠然と思ったんです。すごく正直な人間というんですかね? 裏表がない人間というか、そういう人を演じたときに、彼はそのまま信じてもらえるような気がしたんです」

『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』は、山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」をモチーフにした中村航の人気小説の映画化。

ここで相葉が演じたのは、漫画家になる夢を諦められずに、書店員として働く主人公の光。彼は偶然出会った世界的な照明アーティスト、ソヨン(ハン・ヒョジュ)にひと目惚れし、彼女のことを運命の人だと思い込む。

でも、やがてソヨンには光の大学時代の同級生で、いまは売れっ子漫画家の北山(生田斗真)という恋人がいることを知る。一方、光の片想いを応援する幼馴染みの杏奈(榮倉奈々)は、子供のころからずっと一緒だった彼に特別な想いを抱いていた。そんな彼らのすれ違う恋に、クリスマス・イブの夜、光にしか見えない相棒のデビクロくんが魔法をかけて、素敵な奇跡が舞い降りるのだが……。

この設定を聞いて、犬童監督は7年前に思った自身のイメージと重ねて相葉にピッタリの役だと思ったという。

「彼、クリスマス・イブが誕生日だし(笑)、出てきただけで、セリフで説明しなくても、さっき言った“正直な人”と思える。光は『スミス、都へ行く』(39)でジェームズ・スチュアートが演じたような鈍感だけど、正直で情熱家だから複雑な出来事を一点突破してしまえる男。普通の役者が、そんな子供のまま大人になったような人物を演じてもリアリティが感じられないけれど、相葉くんなら観る人も普通に受け入れることができる。しかも彼は明るくて可愛いから、冴えない男にはならない。そこが相葉くんの魅力ですね」