彼にダークサイドがないとは思っていない

それは相葉雅紀が本来持っているパーソナルな魅力なのか? それとも彼がそういうスタンスで役に臨んだのだろうか?

「もともと持っているものでしょうね。でも、僕も彼にダークサイドがないとは思ってないですよ。一度、そういう話をしたときに『僕は家に帰ってから怒っています』みたいなことを言っていたし(笑)、別にそれを隠そうしているわけじゃない。普段から、別に無理して“いい人”を装っているわけでもないんですよね」

犬童監督は、相葉の役者としてのポテンシャルの高さも評価する。

「彼は今回、撮影に入る前に『監督に言われたことをそのまま一生懸命やる』って言っていましたね。あまり気づかないかもしれないけれど、彼が演じた光は実はほかの3人の思いをずっと聞いているだけで、自分の感情を吐露するシーンはひとつもないんです。相葉くんも『みんなの芝居を一生懸命受けている。言われている気持ちになって、そこにいるようにしている』と言っていました。だから、リアクションをしているときの彼の表情がすごくいい。相葉くんが一生懸命聞いてくれるから、ほかの3人も情緒的だったり、感情的な演技がしやすかったと思います」

  

しかも、そのリアクションもただ受けるのではなく、多くの人が気づかないコンマ数ミリのレベルと精度で、対峙する相手に合わせたり、変えているという。

「生田くんとの芝居のときに、僕はそれに気づきました。生田くんの芝居にはある種のリアリズムがあって、キャラクター重視のものとはちょっと質が違う。そんな生田くんと芝居をすると、相葉くんの芝居もその質のリアクションや表情、間になる。それが、榮倉さんが相手だと彼女の芝居に対する顔になるし、ヒョジュさんが相手のときは彼女の演技のリアクションになる。相葉くんは『相手が話していることをすごく真剣に聞くようにしていた』と言っていましたけど、生田くんとのシーンは特にそのあたりを注意して相葉くんのリアクションや芝居を見ると面白いですよ。普通はどうしても感情を吐露している生田くんの方を見てしまうけど、相葉くんが一生懸命リアクションしているのを彼のファンの人には特にしっかり見てもらいたいですね」

「彼は昔と違って集中力が一気に増しているし、芝居がブレない」と続ける。

「だから、役を自分のものにするのに時間がかからないし、役が一度入るとその後はまったくブレないので、すぐに本番に入れる。嵐として場数を、本番をいっぱい踏んで、そういう集中力を一気に高められる身体になったんでしょうね」