瀬奈じゅんが初のストレートプレイに挑む『ビューティフル・サンデイ』開幕!

2012.3.6 10:20配信
「ビューティフル・サンデイ」の写真 「ビューティフル・サンデイ」の写真

何気ない日常の中にも、美しくキラリと光る瞬間がある。そんな大切な一瞬のファンタジーを気づかせてくれる、中谷まゆみ作の三人芝居『ビューティフル・サンデイ』。2000年初演時より好評を博し、国内外で上演され続けてきた本作に、瀬奈じゅん・葛山信吾・桐山照史(関西ジャニーズJr.)というフレッシュで魅力的な顔ぶれが揃い、初演時の演出家・板垣恭一が新たに演出、この2月23日に東京・ル テアトル銀座で開幕した。

『ビューティフル・サンデイ』のチケット情報

ある日曜の朝、秋彦(葛山)が住む部屋に、以前その部屋の住人だったという訳ありげな女性・ちひろ(瀬奈)が侵入。秋彦の同居人でゲイの浩樹(桐山)も交えて、大騒ぎするところから物語は始まる。明るく天真爛漫に、秋彦と浩樹の懐に入っていくちひろ。そういう彼女の心の影を素早く読み取る、純真無垢でクレバーな浩樹。素っ気ないけれど実直で心根の優しい秋彦は、そんな二人に振り回される。ストレートプレイに初挑戦の瀬奈、外部公演に初出演となる桐山、リアリティのある演技に定評のある葛山が、それぞれチャーミングなキャラクターを立ち上げる。

前半はかなりのドタバタコメディ。スピーディでハイテンションな会話の応酬は微笑ましくもあり、面白おかしくもあり、劇場中が笑いに包まれる。中盤から、秋彦・ちひろ・浩樹それぞれが抱える事情や想いが少しずつ明らかになっていく。真実が明らかにされるたびに、劇場の空気が張り詰めていく。相手を思いやっているからこその嘘がバレていくたびに、胸が押しつぶされそうになるほど切なくなる。次第に、客席のあちらこちらからむせび泣く様子が感じ取れた。彼らが抱えている問題が身近に思えることで、我慢できずに涙腺が決壊する観客も少なくない。

これほどまで喜怒哀楽、さらにそれ以外の感情までも観客に伝わるのは、3人の俳優たちが熱量高く、舞台の上で懸命に生きているから。また登場人物3人のみならず、彼らが持つ人間関係や背景まで浮き彫りになるよう非常に丁寧に描かれている作品だから。それを、山本愛香によるピアノとパーカッションの生演奏や3人による歌などのエンタテインメント要素で柔らかく包み込むことで、観客が親しみやすい極上の舞台になった。

ぜひ彼らの部屋を覗いてみて欲しい。あなたも部屋の住人になりたくなるだろう。ラスト、3人の晴れやかな表情が観客の背中を押し、「明日もがんばって生きよう」と思わせてくれる。日常の中の大切な一瞬を思い出し、これまでよりもちょっぴり強く、ちょっぴり優しくなった自分に気づくはずだ。

心のヒダを優しく解してくれるような、温かい手をそっと差し伸べてくれるような本舞台が、東京公演を経て、いよいよ関西に登場。3月10日(土)・11日(日)までシアターBRAVA!、3月16日(金)~18日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで開催される。チケットはともに発売中。

文:金田明子

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