『戦場でワルツを』の鬼才が語る最新作

2015.6.19 12:19配信
『コングレス未来学会議』を手がけたアリ・フォルマン監督

自らの戦場体験を描いた2008年製作の『戦場でワルツを』がアカデミー賞外国語映画賞ノミネートをはじめ、世界中で大反響を呼んだアリ・フォルマン監督。いまや注目の映画作家となった彼が、新作『コングレス未来学会議』で『惑星ソラリス』の原作者スタニスワフ・レムのSF小説の映画化に挑んだ。

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まず、最初に今回レムの原作『泰平ヨンの未来会議』を手にした理由を監督はこう明かす。「レムの小説を初めて読んだのは16歳のとき。すっかりトリコになってね。映画学校に進んだとき、今回の原作を再び手にとって、こう思ったんだ。“いつか映画化したい”と」

いわば念願の映画化。ただ、共産主義体制の時代を現代のハリウッドに置き換えるなど、大胆に翻案している。「原作の世界観を大切にしながら、現代に沿わないところは今に見合う形に変えることを決断した。現代を生きる人々に届けるわけだから」

こうして生まれた物語は、ハリウッドで活躍する実力派女優のロビン・ライトが演じる女優のロビン・ライトが主人公。40歳を過ぎた彼女はその美貌も人気もピークを過ぎている。時を同じくして、ハリウッドは俳優の絶頂期の容姿をスキャンし、そのデジタルデータを自由に使い映画を作るシステムとビジネスを発明。女優生命と引き換えに巨額の金を手にした彼女の行く末が見つめられる。そこからはデジタル化の脅威、利益を追求する企業の暴走、バーチャルと現実の境界線など、といったさまざまな現代の問題が不思議と浮き彫りに。さらに現在の巨大スタジオが牛耳る映画産業にも大きな問いを投げかける。「今の社会、そして映画界について一石投じたかったのは確か。また、このままいくと今回の映画のように生身の俳優は必要なくなるかもしれないし、監督の存在だって危うい。僕自身はそうなるとは思っていないけどね。そのことを含めクリエイティヴの持つ力についても改めて考えたかった」

主演のロビン・ライトについてはこう語る。「彼女は早い段階からこの作品に関わることを決意してくれた。脚本にあれこれと口を挟むこともなくてね。むしろ私がびっくりしたよ(笑)。ロビン・ライトという役を表現者として体現してくれた。すばらしい俳優だよ」

本作でも世界的評価を受けたフォルマン監督。今後の動向が気になるが、先日、アレハンドロ・ホドロフスキー監督と会ったことが報じられた。「パリで会ったんだけど、すばらしい時間だった。未完の大作『DUNE』について話して、彼は最後にこんなことを言ったんだ。『この企画を実現に導くのは、どこからか現れるクレイジーなアニメーターだ』と。その人物が私だったらこれほど光栄なことはないよ(笑)」

『コングレス未来学会議』

6月20日より新宿シネマカリテほか全国公開

(C)2013 Bridgit Folman Film Gang. Pandora Film, Entre Chien et Loup. Paul Thiltges Distributions. Opus Film. ARP

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