書籍『整形した女は幸せになっているのか』によると、世の中の空気が変わり始めたのは2000年以降。ちょうど、「プチ整形」という言葉が出てきた頃です。このプチ整形には、起源や定義には諸説ありますが、同書ではこう紹介されています。

「『美容整形科』を診療科として認めるように要請した十仁病院によれば、1997年に同院が『鼻と顎のプチ整形』を診療に導入したのが始まりだそうだ。これを機に『プチ整形』が多くのメディアに取り上げられ、普及したそうです(※十仁病院公式サイトより)。

一方、新宿でタカナシクリニックを運営する高梨真教院長は、『有名な美容ライターの方がうちでヒアルロン酸で鼻を高くして、その時に雑誌【FRaU】で【プチ整形】とタイトルを付けたのが発端』と語る。彼はブログで、その時期を『2001年頃』としている」(同書より)

15年前に誕生した現在の高校1年生や中学校3年生は、生まれた時からプチ整形があるということになるのです(そりゃ身近になるわ……)。

そんなプチ整形ですが、当然、トラブルも多く、国民生活センターに寄せられた美容整形に関する相談も増加傾向です。2004年の相談件数は932件。それ以降、右肩上がりとなっており、2007年には1500件を突破。2012年には「美容医療・契約トラブル110番」と、期間限定の相談窓口を設置するまでの事態となりました。

最新のデータではいかがでしょう。2014年度の美容医療関連の相談件数は1955件。10年前と比較すると既に2倍近くに。では、相談内容を見ていきましょう。その約半数が販売方法や広告に関するもの。特に説明不足とされるものが多く、宣伝の言葉をそのまま信じ、知識のないまま施術を受け、トラブルに至るというケースです。

そういった現状について同書では、「『もっと綺麗になりたい』『若々しい外見を取り戻したい』など、美容整形へのニーズは高まるばかりだ。にもかかわらず、クリニックも医師も『玉石混交』で、消費者がそれを見抜く知識が追いついていないのが現状である」と分析しています。

お金と時間をかけることで、“理想の自分”に近づくことは技術的には可能な世の中ですが、それに伴い、トラブルが増加しているのも現実。せっかく投資したお金・時間が無駄になり、また、マイナスになることもあるのです。

現在社会では美容整形が許されがちな空気になっていますが、あなたその流れに乗りますか? それとも、乗りませんか? お金も、時間も、そして体も、あなたにとって大切なものばかり。この機会に一度、よく考えてみてはいかがでしょうか。

【書籍情報】『整形した女は幸せになっているのか』北条かや著 星海社