ユナク  撮影:石阪大輔 ユナク  撮影:石阪大輔

日本でも熱狂的な支持を得ているブロードウェイ・ミュージカル『RENT』が、この9月、新たなキャストでシアタークリエに帰ってくる。貧困やエイズなどの苦難に直面しながらも、愛と友情を信じ、夢をつかもうとする若者たちの姿を描いた青春群像劇だ。前回の2012年公演と同様、今回もオリジナル版の演出を手がけたマイケル・グライフによる新演出版で上演され、キャストはオーディションにより選出。そこでHIVポジティブのロック青年・ロジャー役を射止めたのがこの人、日韓で活躍するグループ“超新星”のリーダー、ユナクである。(堂珍嘉邦とのWキャスト)

ミュージカル『RENT』チケット情報

「昔からミュージカル俳優になるのが夢で、“いつかやりたい作品”のベスト5のひとつが『RENT』でした。韓国の『RENT』に出演した友人が“ロジャーの役は大変だけど魅力がある。やり遂げられたら、ほかのどんな舞台でもできるようになるよ!”と話してくれて、夢が叶うチャンスだと思いました」

すでに日韓両国で舞台経験を持ち、確かな表現力と美声は証明済み。そんな彼のオーディション挑戦にファンのあいだでは驚きの声が上がったそうだが、当人は「オーディションを受けるのは当たり前のこと。知名度ではなく、僕はここまでのことができます!というのをちゃんと見せて認めてもらわなければ、舞台には立てませんから」と真摯に臨む。最も意識を傾けるのは、日本語での台詞の伝わり方だ。

「日本語で普通に会話することにはプレッシャーはないけれど、舞台では、お客さんが違和感を持たないように頑張りたい。意味はわかるけど、なんかぎこちない……なんて思われないように、日本人の話し方のニュアンスに完璧に合わせていきたいと思ってます。お客さんからチケット代をいただくに値する作品を見せたい。日本の皆さんに喜んでもらえる舞台をやっていきたいですね」

超新星のメンバーたちが今回の出演を自慢に思い、応援してくれることが何より嬉しい、と笑顔満面。グループについて語る時、切れ長の瞳にいっそう穏やかな優しさが満ちる。「本当なら自分よりもメンバーのことを考えなきゃいけないんです。リーダーだから」。控えめで誠実な内面からくる端正な物腰は大きな魅力。それを俳優ユナクの独自の輝きに昇華させた瞬間を、ぜひ舞台で見届けたい。「もう“ミュージカル俳優”を名乗れるのでは?」と問うと、「この『RENT』を成功させたら!」と力強い答えが返ってきた。

「『RENT』の一番の魅力はやっぱり音楽! 素晴らしい歌を全身で感じて、世界にハマってほしい。僕も新しいロジャーを作り上げて、この挑戦を楽しみたいと思います」

公演は9月8日(火)から10月9日(金)まで、東京・シアタークリエにて。その後大阪でも上演。東京公演のチケット一般発売は7月4日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選「いち早プレリザーブ」を実施中、6月25日(木)午前11時まで受付。

取材・文 上野紀子