ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』 Photo by Keiko Tanabe ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』 Photo by Keiko Tanabe

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が6月25日、東京・東急シアターオーブにて開幕した。1960年代に一大センセーションを起こしたアメリカのヴォーカル・グループ、ザ・フォー・シーズンズの真実の物語を彼らのヒット曲とともに綴る作品。トニー賞、グラミー賞などを総なめにし、昨年はクリント・イーストウッド監督による映画版もヒットした。そのミュージカルの初来日公演である。

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』チケット情報

世界中で1億枚以上の売り上げを誇り、ビートルズ以前に世界で最も人気のあったバンドと言われるザ・フォー・シーズンズ。その名を聞いてピンと来ない世代でも『君の瞳に恋してる』『シェリー』などは聴いたことがあるだろうし、曲名を知らずともCMソングなどで我々の生活の中にしみこんでいるナンバーはたくさんある。そんな古き良きアメリカン・ポップス王道のナンバー33曲で綴られるのは、彼ら自身の成功と苦悩の物語。ニュージャージーで友人のニックとバンドを組んでいたトミーは、“天使の声”を持つフランキーを見出す。やがて若くしてヒット曲を作っていたシンガー・ソングライターのボブ・ゴーディオが加わり、4人は“ザ・フォー・シーズンズ”として活動していくことになるが…。

何かを成し遂げたグループの、その栄光の裏にある光と影…というものは、作品の題材としてはありふれているかもしれない。とはいえ、マフィアとの関係性まで描いているのはなかなか衝撃的。そしてメンバー間の確執も赤裸々に語られていく。金銭トラブル、メンバー間の格差。プライベートも不幸が続く。だがそれをことさらドラマチックに仕立てあげず、むしろ淡々と綴っていくところがリアル。他の作品と一線を画す“真実の力”こそが、世界中で大きな感動を呼んでいる理由なのだろう。

彼らを取り巻くドラマが淡々と綴られていく反面、ザ・フォー・シーズンズのライブシーンはまばゆい。どんなに問題が起こっても、音楽は常に彼らにとって光だった、それもまた真実なのだろう。『シェリー』『恋はヤセがまん』『恋のハリキリ・ボーイ』の3連続ヒットの場面はライブ会場のような盛り上がりだったし、『君の瞳に恋してる』にいたっては前奏の数フレーズが鳴った時点で、待ってましたとばかりの拍手が客席から起こった。初日公演は往年のザ・フォー・シーズンズのファンらしき年配の客から、若い女性まで、幅広い年齢層の観客でにぎわっていたが、誰もが終演後、客席の明かりが点いた後も名残惜しそうに舞台に拍手を送り続けていた。

公演は7月5日(日)まで同劇場にて。チケットは発売中。