山田優 山田優 撮影:源賀津己

11月11日(金)開幕の舞台『ヴィラ・グランデ 青山~返り討ちの日曜日~』で、山田優が初舞台を踏む。稽古に励む本人を直撃し、現在の心境を訊いた。

「ヴィラ・グランデ 青山~返り討ちの日曜日~」公演情報

幼少期からダンスや歌のレッスンを重ね、ファッション誌の表紙を華やかに飾り、近年では女優として幅広い役柄をこなす。そんな彼女がこれまで舞台に立ったことがないというのは、不思議なくらいだ。「やりたいとはずっと思っていたんです。舞台を観るのは大好きなので。登場人物の感情を同じ空間で一緒に感じられるというのが魅力ですよね。ただ、好きだからこそ、なかなか決心できずにいました。それでも今回のお話に関しては、絶対にやった方がいい!って。そこに迷いはなかったですね」。

彼女を初舞台へと導いたのは、『のだめカンタービレ』で共演した竹中直人。山田の出演には彼の強いプッシュがあったとのことだが、その理由のひとつは、「映画版の舞台挨拶のとき、私がすごくテンパっていたのが面白かったらしくて(笑)」。とはいえ、舞台を深く愛する竹中のこと。彼女に才能を感じなければ声をかけることはなかっただろう。そしてもうひとつ、山田の背中を押したものに、本作で作・演出を担う倉持裕の存在がある。「私自身ずっとやらせていただきたいと思っていた演出家さんでしたし、周りの人からも『初舞台は倉持さんの作品がいい』と言われていました。今回の台本もすばらしいのですが、この面白さをどうやればお客さんに伝わるのか、演じる難しさも感じているところです」。

物語の舞台は、バブル末期に建てられたマンション“ヴィラ・グランデ 青山”。民谷(竹中)が、20年来の友人でありながら3年前に仲違いしてしまった陣野(生瀬勝久)を呼び出したところから始まる。山田が演じるのは、このマンションの住人・津弓の役。「津弓は、気を遣ったり、人に優しくすることで自分の生きがいを感じたりする女性。私も人に何かしてあげたいって気持ちは強い方なので、津弓と似てる部分があるな、と。竹中さん、生瀬さんとの3人のシーンが多いんですが、とにかくおふたりが面白いので、私はあえてニュートラルでいたほうがいいような気がしていて(笑)。今はなんとなくフワーッと、相手役の方と向かい合ったとき、すぐ自分も変えられるようなスタンスでいたいなと思います」。

女優の仕事は好きですか?と聞くと、「好きです!」と即答。「すごく難しくて、まだまだ自信はないですけど、勉強になりますし、何より面白いので続けていきたいなと思っています。舞台も年に1回とか、コンスタントに続けていけたら……。今回の出来次第ですけどね(笑)」。笑みを浮かべながらも、瞳の奥には強い意志が宿る。新たなる舞台女優の記念すべき第一歩に注目したい。

11月27日(日)まで東京・シアタークリエで上演された後、大阪、静岡、長野、金沢、広島、福岡、長崎、名古屋の各地に巡演する。チケットは発売中。

取材・文:野上瑠美子