そもそも急ぐ必要はあるの?慎重に考えても良い3つの要素とは

ここまでの内容で気になるのが「増税前に急いで買う必要があるのか」ということですが、マイホームは一生に一度の買い物と言われるだけあって、出来れば本当に購入したいと思う物件が表れた時に慎重に考え購入したいものです。

増税を気にしなくても損をせずゆっくり慎重に考えて購入は出来ないのか。増税を気にしなくても良いポイントは3つあります。

1つ目は「すまい給付金」です。消費税が5%から8%に引き上げられた際に導入された制度ですが、増税による負担増を少しでも軽減させるために国土交通省がスタートさせた制度で、今回の増税後も導入されます。しかも今回は適用条件が広がり、以前は年収510万円以下が対象でしたが、今回は年収775万円以下が対象です。

以前より多くの人が対象となり、給付額も以前は最高で30万円でしたが、それも増額され最高50万円になります。50万円給付されれば、消費税の増額分がカバーできるという考え方もできますね。

2つ目は「贈与税の非課税枠が拡大」することです。どれくらい非課税枠が拡大するのかと言うと、消費税が8%の住宅購入の場合、免震や耐震性に優れ、バリアフリー化された物件は1,200万円までが非課税、それ以外の一般住宅については700万円までが非課税という内容です。

それが消費税10%になるとどう変わるのか。免震や耐震性に優れ、バリアフリー化された物件の購入については3,000万円、一般住宅についても2,500万円が非課税になります。しかも2019年4月以降の契約であれば適用されるので、贈与が予定されている場合は急がず少し待った方が良い場合もあるということです。

但し、贈与税非課税の恩恵を受けるためには、購入する住宅の名義や贈与する人される人が特定されるなど、さまざまな条件がありますから注意が必要です。

3つ目は「増税後は買い手が優位になる」ことが予想される点です。増税前は駆け込み需要が増え、多くの人が買い急ぐ傾向にあるため売り手が優位となり、強気な価格設定になりがちですが、増税後は需要が落ち込む可能性が高いため、価格が下がる傾向にあります。

金額にもよりますが、物件の価格が下がれば、消費税増税分がカバーできてしまう場合もありますから、「時が来るのを待つ」という手もあるかもしれません。

このように、増税を前に「買い急ぐべきか慎重になるべきか」において、慎重になっても良い3つのポイントについてご紹介しましたが、どちらがお得かについては、詳細なシミュレーションが必要です。

シミュレーションにより負担が増えるようであれば、買い急ぐのも1つの手段ですし、「すまい給付金」や「贈与」の対象になりそうであれば、少し待って負担を緩和する制度の恩恵を受けることを考えるのも1つの手段でしょう。

家族でよく話し合い、家族が納得できるマイホーム購入ができると良いですね。

ライター。不動産会社に10年ほど在籍し、賃貸営業、賃貸事務、売買仲介、売買仲介事務、不動産管理営業、不動産管理事務など幅広く経験。現在も不動産会社で勤務しており、おもに賃貸仲介をメインで活動中。好きな言葉は、「根拠のない自信はおおいに結構。それを裏づける努力をするべし」。二児の母でもある。