舞台『七人ぐらいの兵士』 撮影:須佐一心 舞台『七人ぐらいの兵士』 撮影:須佐一心

7月5日、Bunkamuraシアターコクーンで『七人ぐらいの兵士』の初日の幕が開いた。2000年パルコ劇場で初演されたこの作品は、当時ドラマの打ち上げで盛り上がり企画が実現、作・生瀬勝久、演出・水田伸生の布陣で明石家さんまの演劇デビューとなった記念碑的作品。以降、明石家さんまはコンスタントに演劇作品に出演してきた。2015年版の再演では、初演キャストである生瀬勝久、山西惇、温水洋一、八十田勇一、中村育二、恵俊彰(Wキャスト)に加え、新参加の内田有紀、中尾明慶(Wキャスト)、森田甘路、須賀健太という、力強いキャストが揃った。

舞台『七人ぐらいの兵士』チケット情報

物語は、戦時中の中国大陸、ダメ兵士たちばかりが集まる分隊があった。兵隊のリーダーである木下兵長(生瀬勝久)は、かつて漫才師であり、相方に出番直前、高座から失踪された経験がある。訓練中の怪我で野戦病院に運ばれた木下は、入院患者から“爆笑王”と呼ばれる男がいると聞くが、それがかつての相方・水島上等兵(明石家さんま)であることを知る。戦地で因縁のふたりが再会し、分隊を巻き込んで繰り広げる悲喜劇である。

さんまと、生瀬を始めとする実力派俳優たちによるチームワーク抜群の丁々発止のやりとりは、15年の時を経て、熟成されながら更に進化し、時に心地よく、時にスリリングであり飽きることがない。そして従軍看護師・吉永役の内田有紀は、戦地で多くの兵士を看護する女性の力強さと安心感を与える朗らかさを併せ持ち、生死の狭間にあって“生”を象徴するような存在感を発揮している。個性と実力を備えたキャスト陣の力演は見応えがあり、また“お笑い怪獣”の異名をとるさんまを中心とした笑いは観客の期待を裏切らない。同時に、思いっきり笑いながら作品世界に引き込まれるうちに、戦争のむなしさや、生きることへ渇望、様々な感情も思い起こされ、この作品に込められた痛烈なメッセージが伝わってくる。

初日終演後のカーテンコールでは、今月1日に還暦を迎えたばかりのさんまへ、バースデーケーキ登場のサプライズも。生瀬が「本日はどうも沢山のお客様にご来場頂きましてありがとうございます。15年前にこの(カンパニーの)シリーズの第一回が始まりまして、この作品が初演だったのですが、15年経ち、さんまさんも60才になられて(笑)…」と言うと、さんまはすかさず「60がね、若手の兵隊なんかしてる場合ちゃうけど(笑)」と続け劇場は笑いに包まれた。そんなさんまに生瀬は「それが素敵だなと思います」と言葉を返した。

最後にさんまは「初日無事に終了しました。明日からも頑張りますんで、どうもまたご来場下さい。ありがとうございました。」と観客への感謝を伝え、満場の初日公演は幕を閉じた。

今年はくしくも終戦70年。そういったことにも思いを巡らせながら作品を観て頂くのも意義深いのではと思う。暑い夏になるに違いない。公演は7月5日(日)から26日(日)まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、8月19日(水)から25日(火)まで大阪・シアターBRAVA!にて。

「ウレぴあ総研」更新情報が受け取れます