朝は家を出る時間がバラバラ、夜も家に帰る時間がバラバラ。
残業や子どもの習い事、家庭環境などの影響で、家族そろってごはんを食べることが貴重な機会となっているご家庭も多いのではないでしょうか。

そんな中、たびたびクローズアップされるのが、子どもがひとりでごはんを食べる「孤食」。

「小学生で10人に1人以上、中学生で4人に1人が朝食をひとりで食べる」「子どもと毎日一緒に朝ごはんを食べる保護者は半分に満たない」など、さまざまな調査結果が報告されています(※)。

増え続ける子どもの「孤食」に対し、どう対処していけばよいのかをまとめてみました。

孤食、その問題とは?

子どもの「孤食」が注目され始めたのは、今から30年以上も前、1980年頃だといわれています。
今の親世代がまだ子どもだった頃、すでに世の中の関心事として存在していました。

ところで、「孤食」に関心が集まる理由はなんなのでしょうか?

発達心理学者の外山紀子氏の著者には、「そもそも孤食が問題視されるのは、誰かと食べるのが人間にとって当たり前の行動だ(だった)から」だと書かれています。文化人類学者として知られる石毛直道氏によれば、人間は「共食(きょうしょく)する動物」であり、それは世界のどの民族にも共通した特徴なんだそうです。

人間は大昔から、食べものを家族単位で分け合って食べてきたという歴史があり、「孤食」という食事形態は、どうやら人類が初めて直面している社会状況のようです。

体調不良、情緒不安定…「孤食」がもたらす影響

当たり前だったことが、当たり前でなくなってきた。
そのことが子どもにどんな影響を与えているのかという調査は、今までいろいろな形で行われてきました。

「孤食」は家庭生活や家族関係の一面を表している特質上、生活リズムや睡眠など基本的な生活習慣などとも大きく関わっています。

その結果、「孤食」の機会の多い子どもほど偏食になりやすく、食欲も落ちるため、「体調不良になりやすい」「元気が出ない」「精神的な満足感が得られず、情緒不安定になりやすい」といった傾向にあることがわかっています。

食卓はコミュニケーションの場であり、子どもが食経験を広げる場でもあります。子どもの「孤食」が増えることで、食や命の大切さを知る機会が減ることになるため、そのことが子どもの発達に及ぼす影響も大きいのではないか、ともいわれています。